大市場・福岡都市圏での空洞化
九州で唯一人口が増加し続けている福岡都市圏。2011年の九州新幹線の全線開通でさらに人口の一極集中が進むであろうと注目されている。しかし越智産業の人口当たりのシェア率が思ったよりも低いのだ。
卸分野では、遠賀川以西の福岡大都市圏から福岡県南部、大分県日田市、佐賀県全域をカバーする福岡営業所と北九州市大都市圏から大分県境までをカバーする北九州営業所の2営業所がある。
さらに住宅会社や建築会社向けの直需分野を担当する特販営業所、そして関連会社には建具・家具・木工分野向けの「マルキタ」、特殊合板を得意とする「ハリマプライウッド」、さらに旧大建工業製品を主体に扱ってきた「九州テクノス」がある。
それから北九州市には越智産業最大の関連会社であり、最初のM&Aである(株)ホームコア
を配している。
しかし、これら3営業所と各関連会社群間との相互の情報交換や戦略会議がなされていないことが気懸りであるし勿体ないと思う。
卸の福岡営業所の有力取引先であった、ワイエス、西野木材、ゼロップ他等の越智産業離れが起きている。丸五木材の建材部門であった「丸建」を買収して傘下におさめるなどの変化もおきていて何時の間にか空白地帯になりつつある。
福岡営業所長の交代も短期間で相次ぎ、申し送り書を含めた引継ぎも完全になされていないために後任者は何故取引が減少したり消滅してしまったのか理由が分からないでいる。
つまりデータ解析するにも改めて自分の足で訪問し問題点を確認し戦略を立て直さなければならないのである。
特販営業所との競合で嫌気がさして取引を縮小したのか、与信限度の問題があったのか、競合を解消するにはどのような方策があるのかについて一切の社内ルールや戦略会議がないようなのだ。
取引先の目線にたった戦略を
取引先の子弟育成を含めた社員教育制度
同様に諫早市の(株)クロダも九州内有数の越智産業シンパであったが何時の間にか、すてきナイスが約45%? の株式を取得し連結会社化している。
すてきナイスは福岡市の「日進」や唐津市の「福井木材」等のプレカット加工部門との取引関係を深めたり、その他の取引先の後継予定者を預かり経営者としての帝王学を学ばせている。越智産業でも数社から受け入れているが営業所に配置してデリバリーワークや営業部門に配置し一兵卒から育てているがその先の経営学習得のカリキュラムが明確化されていないようだ。同じ事はプロパー社員への研修態勢にも当てはまるのではなかろうか。
マーケットが急速に縮小していく住宅・建設関連業界において売上確保と同時に、得意先への与信管理、経営指導等の能力開発の巧拙が問われる業界環境に適合できる社員教育の必要性が求められている。
工務店育成プログラム
すてきナイスグループやJKホールディングスでは、卸部門の取引先(工務店、住宅会社)大手住宅メーカーやパワービルダーに圧倒され淘汰しないように研修を主にした展示会や研修会を全国縦断的に展開している。展示即売会でも1回あたりの動員数が3万5,000人を超えるほど大規模だ。また、工務店等に耐震規制をクリアーできる工法研修会も各地区で定期的に行なっている。これからも法律改正等の規制が変わるたびに工務店が即座に対応できるように、その都度研修・啓蒙の機会を設けている。
越智産業でも九州・中四国の各営業所で「アイ ラブ ホームフェア」を開催している。
9月20日~21日は久留米市で福岡営業所が開催した。約1,500人を動員して、6億9,000万円(昨年実績は5億500万円)売り上げこの時期としては一応大成功だった。
しかし、何故久留米市開催なのかというと大市場の福岡市内が空洞化していることは前述した。つまり福岡営業所とは名ばかりで、久留米、築後、佐賀の商圏で稼いでいるのである。現行の展示会形式ではなく工務店育成型の展示・研修形式に切替えていかないと工務店の成長はなく、従って販売店も生き残れないであろう。この卸の主戦場はタマホームや昭和建設等大手ビルダーの発祥の地でもある。だからこそ地場工務店の成長・育成戦略が必要であり、それができる問屋を販売店は選別せざるを得ないのだ。
つづく
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