世界的な金融危機の前に、解散総選挙は先送りとの観測が強まっている。G7(主要7カ国財務省・中央銀行総裁会議)で5項目の「行動計画」を示し、金融機関破綻を避けるために公的資金を注入することを示し、「あらゆる手段を活用する」とまで踏み込みはしたものの、実体経済に好影響を与えるまでの道筋は不透明だ。
日本国内でも、株価下落の影響を受けて、地方銀行などによる業績下方修正の動きが顕在化しはじめている。大和生命の破綻は特殊な例とされるが、このまま株安・円高が続けば、なにが起きるか分からないとされる。
この状況で解散総選挙ができるのかと問われれば、否であろう。G7での行動計画は確実に実行しなければならないうえ、緊急にサミットの開催を模索する動きもあるという。国際社会が協調して危機に立ち向かおうとしている時に、解散して衆議院議員の首をとばし、参議院だけに国政を委ねることはできまい。しかもその参議院は昨年の通常選挙以来、与野党逆転のねじれ状態を現出させた。参院の多数派は野党なのだ。衆院選期間中、参院で過半数を占める野党側が、選挙戦で対立する政府・与党の打ち出すものを、やすやすと容認できるはずがない。国会の機能停止は、国内経済にさらなる打撃を与えかねないのである。簡単に解散というわけにはいかなくなってきた。
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