株価暴落で含み損一歩手前
世界中の大企業のM&Aを仲介し、その過程で必要となる買収資金を株や社債、あるいは融資で引き受ける。そのうえで株や社債、小口化した債権を世界中の投資家に販売する――。日本では一番の三菱だが、世界では劣後する。こうしたグローバルな展開をできるように「コーポレート&インベストメント・バンキング業務を強化していくのが大きなテーマだった」(経営企画部の担当幹部)。
モルスタから三菱に話が舞い込んだのは9月18日だったが、モルスタはみずほコーポレート銀行などにも声をかけていたようだった。おそらく同業者に先を越されたくないという想いが強く、意思決定の遅い三菱には珍しく、わずか4日間で決断を下して出資を発表している。
ところが好事魔多しで、9月下旬には25~26ドル程度あったモルスタの株価は、米国株式相場の暴落に次ぐ暴落で大幅に値下がりしていったのだ。三菱が当初計画どおりに普通株で出資すると、そのとたんに数千億円規模の含み損を抱え込むことになりかねなかった。このため、9月29日になって提携内容の大幅見直しを発表し、つぎこむ90億ドルのうち普通株は30億ドルにとどめ、60億ドルを転換権つきの永久優先株とすると変更した。この段階で、持ち分法適用会社にして連結対象にするという三菱の野望は大きく後退した格好だ。
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