得したのはモルスタ?
モルスタの株価下落はさらに続く。10月に入って10ドルを割り込むようになると、再び条件の見直しが進み、結局、先述のように普通株はまったく無く優先株だけの内容となった。これでは、カネは出しても株主総会などで意思を反映する議決権がない。大森副社長の意気込みとは裏腹に、10%という高配当狙いの「純投資」にすぎない格好に陥ってしまったのだ。一応、三菱は最低でも1人の役員は派遣するという姿勢は崩していないが、当初の姿勢が強気だっただけに、無様な展開となった面は否めない。
「せめて株価が下落したら転換価格が修正される下方修正条項をつけておいたほうが良かった」(外資系証券会社のアナリスト)といった声が株式市場関係者から聞こえてくる。下方修正条項があれば、モルスタ株が下落しても、その分を普通株に転換できる株式数が増える仕組みとなるからだ。
「大森さんは理屈をこねくりだすのはうまいかもしれないが、仕事はできないよ」とは、ライバル行の三井住友の元幹部である。多少のやっかみが入っているとはいえ、二転三転した出資内容を見ると、三菱の甘さが浮き彫りになる。得したのはモルスタだろう。三菱はカモになったのである。
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