こども病院問題 一部の医師らのおかしな意見
医師の意見は「命」に直結する!
福岡市内の一部の医師らが、こども病院人工島移転に対する賛成意見をまとめ、10月19日に会見で公表するという。結論から言って、弊社が独自に入手した医師らが公表予定の「こども病院の重要性と整備場所に関する我々の意見(案)」と題する文書の内容は、市役所にとっては極めて都合の良い内容だが、市民には不利益をもたらしかねないものである。
最初に断っておきたいが、医療に関する市民の不利益とは「死」につながることを知るべきである。言論の自由が保障されているのであるから、誰が何を言おうが自由かもしれないが、専門分野、特に市民の命がかかるような分野での意見は、よほど注意すべきである。
また、前述の文書に連名で名を連ねる医師らには「なぜこの診療科の方々が?」、と思わざるを得ない。つまり専門外の医師ばかりということである。全文をご紹介するとともに、問題点を検証する。同時に、医師の良心とは何かを問いかけるものとしたい。
まず、医師らの意見案でおかしいと思われるのは、新しいこども病院の面積についてである。医師らは3万m2以上が必要と明記しているが、どのような計算からこの面積をはじき出したのだろう。福岡市の当初案では、1.8~3haとしていたものが、日を追うごとに「最低3ha」、「3.5ha」と拡大していった。医師らが「3ha以上」と記した根拠はどこのあるのか、きちんと積算した結果なのか、はなはだ疑問である。
福岡市は山崎市長時代、市民病院とこども病院・感染症センターの二つの市立病院を統合し、人工島に移転させることを決めていた。専門家や有識者、市議らも含めて何年間もの議論を積み重ねた結果であった。このときの人工島の新病院建設用地の面積は5万ha。そしてこの5万haを、市の第3セクター・博多港開発(株)から購入することは、同社の事業計画にも盛り込まれていた。人工島事業の協調融資銀行団と博多港開発との間で結ばれた融資協定書や契約書は全てこの事業計画を前提に成り立っている。
「契約」を守らなければ博多港開発はつぶれる。こども病院移転問題が「はじめに人工島ありき」と批判され続ける原点はここにあるのである。簡単に3万ha以上というが、土地は市民の税金で購入する。市役所の出した数字に根拠が乏しいことは市議会の論戦からも明らかとなっている。新病院の駐車場面積や、周辺緑地の面積に対する市側の説明は要領を得ていたとは決していえないのである。駐車場は2階建てにすれば半分の面積で済むことくらい、小学生でも分かるからだ。一部とは言え、医師らはこうした事実関係にまで目をつぶるというのだろうか。
つづく
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