代表案が決まった現空港の滑走路増設
最終方策代表案は「西側配置(滑走路間隔210m)改良案」と決定された。「西側配置(滑走路間隔210m)改良案」が代表案となった理由は、ステップ3で示されていた「東側配置(滑走路間隔300m)」案と「西側配置(滑走路間隔300m)案とを比較検討した結果、「滑走路処理容量では3案とも大差はない」、「周辺への影響及び事業費・工期の観点」から「西側配置(滑走路間隔210m)改良案」が最も優位である、とされた。
大阪航空局の説明によれば、増設工事は安全面の配慮から夜間に行なうが、「かさ上げ」工事終了までは誘導路で若干の影響はでるという。また滑走路2本で進入方向が別になることで騒音問題はそう大きくはならない。さらに安全面ではガルーダ機事故の例を教訓にして、ヒューマンエラー防止をあらゆる面で強化し安心運航を図っていく、ということである。ただ現在支出されている環境対策費(約62億円)、土地借料(約82億円)は引き続き継続されるとしている。
新空港代表案は三苫・新宮ゾーンの「N61°E」案
PIステップ3では、新空港について志賀島・奈多ゾーン(4配置案)と三苫・新宮ゾーン(2配置案)が示され、ステップ4ではこの2ゾーンを対象に具体的な滑走路配置が検討され、三苫・新宮ゾーンの「N61°E」案が新空港代表案とされた。
▲志賀島・奈多ゾーン「N125°E」と三苫・新宮ゾーン「N61°E」案の比較図
志賀島・奈多ゾーンの「N125°E」と三苫・新宮ゾーンの「N61°E」案に絞り込まれていたが、この「2案は甲乙付けがたく、現段階で2案の優劣を判断することは困難である」が、「アクセス、事業費の面で比較的優位であると考えられる三苫・新宮ゾーンN61°E案」に落ち着いた経過である。
「三苫・新宮ゾーンN61°E案」は、全体用地約510ヘクタール(現空港は約353ヘクタール)で3,000メートル滑走路が2本。事業費は約9,200億円で志賀島・奈多ゾーン案よりも約500億円安価である。
平均水深が約1m浅く、空港へのアクセス費用が安価の理由となっている。また工事期間は約9年で志賀島・奈多ゾーンと同様になっている。具体的には、滑走路処理能力は現空港の処理容量と比較して約1,47倍の21,3万回。博多駅からの所要時間は15~20分とされている。(アクセスは軌道系と道路整備を前提として)
両案に対する評価
福岡空港調査連絡調整会議は、下図のような「評価項目の設定」を発表した。
それによれば、この「評価項目の設定」は、ステップ1での「福岡空港の現状と課題」「空港能力」についてなどの検討(2005.7~05.12)。ステップ2での「地域の将来像と福岡空港の役割」「将来の航空需要の予測」についての検討(06.7~06.12)。ステップ3での「将来需要への対応方策」「将来対応方策の評価の視点」(07.9~08.1)を踏まえながら出されたものである、としている。
「評価項目の設定」の「視点」は、「需給逼迫緩和」「利用者利便性」「環境・安全」「まちづくりや地域振興」「事業効率性」の5点に絞られ、それぞれ評価項目が設けられ(合計15項目)、それに対応した「評価内容」が述べられている。
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