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特別取材

イーバンクに200億出資した 楽天の「重荷」と「二の舞」(上)
特別取材
2008年10月 3日 13:01

サブプライム危機により、米国の巨大金融機関が相次いで経営破綻に陥ったり、身売りを余儀なくされたりしているが、実は日本の金融機関にもサブプライム禍によって自主経営を断念し、外部資本に救済を求めたところがある。インターネット専業銀行最大手のイーバンクである。

サブプライム直撃で224億円の大幅赤字に

 イーバンクは9月24日、臨時株主総会を開き、定款を変更し、優先株を発行できるようにした。これを機に楽天はイーバンクに200億円を出資し、出資比率約30%の筆頭株主になるとともに、三木谷浩史会長兼社長の右腕である國重惇史副社長(元住友銀行取締役)ら4人をイーバンクの役員に送り込む。2000年の創業以来、社長に就いてきた創業者の松尾泰一氏は社長を退き、代わって國重氏が社長に就任した。

 金融業の規制緩和によって銀行業への新規参入が容易となり、金融庁は営業店を持たないネット上の銀行を認可した。ソニー銀行など相次いで誕生したネット銀行界のなかで、イーバンクは最大規模を誇る。ネット上で高い金利をうたって預金者を集め、2008年3月末時点で266万口座、約7,600億円の預金を持つ地銀下位行並みの「立派な金融機関」に変貌した。

 しかし、その実態はお寒い限りだった。7,600億円の預金の大半を国債で運用するものの、これでは経費と預金者への利子が十分にまかなえない。そこでより高い運用を狙って約2,000億円を高利の金融商品で運用するようになり、これが「命取り」となった。日本長期信用銀行で不動産の証券化を手がけた松尾氏(旧長銀流動化推進室長)と三井物産取締役九州支社長だった星崎治男副社長の二人三脚で成長を遂げてきたイーバンクは、2人の「昔取った杵柄」で不動産証券化商品と九州案件にのめりこんでいったのだ。

 関係者によると、イーバンクは約2,000億円をヘッジファンドや不動産投資ファンドへの出資やCDOなどの不動産証券化商品、CDSなどデリバティブの購入に充てており、ここを米国発のサブプライム危機が直撃した。07年3月期に4億円の赤字だったのが08年3月期には224億円の赤字に大幅に拡大。自己資本が急速に痛み、新しい資本が入らないと今年9月には自己資本比率が4%台にまで落ち込む公算が大きかった。

つづく


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