1800年の時を超えて伝えられる知将・名将が活躍した三国時代の宝物を中国全土から集めた「大三国志展」(同九州展実行委員会など主催)が福岡市博多区の福岡アジア美術館で開かれている。作品は中国全土から出品された約150点と国内の作品を加えた180点。このうち53点は日本の国宝に相当する「国家一級文物」となっている。
三国志は、中国大陸を魏・呉・蜀の三国が覇権を争い、劉備、関羽、張飛の三兄弟や諸葛亮(孔明)、曹操、孫権など、英雄・名将・知将が活躍した時代。国内では吉川英治の小説、横山光輝の漫画、ゲームなどで幅広い年代にファンがいる。
展示会場は2部構成となっている。「三顧の礼」「赤壁の戦い」といった名場面を描いた文学や絵画を紹介するコーナーと、当事の武器や生活などを伝える考古出土品の展示コーナーがあり、孔明が魏の司馬懿(しばい)と対峙した五丈原の地形や234年8月23日(現在の10月3日)の星空を再現した空間も設置。
曹操の筆と伝えられる石刻文字の拓本、諸葛亮(孔明)が開発した石弓や馬用まきびし、赤壁の戦いの古戦場から出土した鏃(やじり)、約2500個の玉片を銀糸でつないだ埋葬用の「玉衣」(曹操一族の墓から出土)などがあり、来場者の注目を集めていた。
また金印が6点展示されている。後漢や西晋のものと比べて三国時代は刻まれている文字が粗い。「次々と統治者が変わる時代だったので、金印の職人の作業も雑になったのでは」と東京富士美術館学芸員の小金丸敏夫さん。11月16日まで。入場料は大人1,000円、高大生700円、小中生300円。
11月1日からは、呉の周瑜を主人公にした話題の映画「レットクリフ」も封切される。
福岡アジア美術館
http://faam.city.fukuoka.lg.jp/home.html
電話:092-263-1100
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