日清食品や明星食品が製造した、ヌードルやラーメンに異臭の苦情があり、高い確率でパラジクロロベンゼンやナフタレンが検出されていたことが判明した。神奈川県の女性(67)が吐き気などを訴えたことから、次々とその実態が明らかになっている。なんと、今年の3月頃から苦情が相次いでいたという。日清食品分だけで21件、日本生活協同組合連合会(CO・OP)分で8件の防虫剤検出が確認・発表されている。
「健康被害がなかったから公表しなかった」企業側や生協連の言いぐさは、まさに企業倫理の欠如としか言いようがない。現実に、吐き気や舌のしびれなどの症状を訴えられ、あわてて事実関係を公表したということのようだが、早期に苦情について公表していれば、防げた事故もあったということになる。防虫剤の検出を早い時期に確認しておきながら、問題になって公表するというのであれば、食を扱う資格がないと批判されても仕方があるまい。
顧客の健康より、自社の損害に対する心配が優先された結果だとすれば、企業や生協連トップの辞任程度で済む話ではない。原因究明が待たれるが、いかなる理由があろうとも、混入が許されないものが食品中に確認された場合、即座に公表し、消費者に危険を知らせる義務があるはずだ。それを怠り、退場を余儀なくされた企業は数え切れない。大手メディアの大口スポンサーであったとしても、厳しく糾弾されるべきケースである。特に日清食品の会見での態度は、消費者に責任転嫁する悪質なものである。企業倫理の欠如にはいずれ消費者の裁断が下るだろう。
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