急激な円高・株安が国内の実体経済に深刻な影響を与え始めるなか、政府・与党内部では、解散・総選挙の先送り論が強まっている。対する民主党は、あくまでも年内解散に追い込むとして、国会での柔軟路線を転換、対決色を打ち出す構えだ。
しかし、100年に一度とも言われる世界的な金融危機を前にして、それでも党利・党略を優先させる民主党に有権者がどう反応するか分からない。与党、野党ともに株価と為替の動向をにらみながらの神経戦が続く。九州のある自民現職は、「民主が対決姿勢に転じ、なんでも反対でやってくれるなら、経済対策ができないのは民主のせい、ということになる。挙国一致の覚悟で危機にあたるべき事態を迎えているのに、政権欲しさに国政を揺るがすことは許されない」と民主党を批判する。
対する民主の関係者は、「自民党に有効な経済対策が打てるとは思えない。官僚の発想に頼るこれまでの体質では、想定外の危機には対応できない。その証拠に株価は底なし、円高は止まらない。とにかく新たな民主党中心の政権に任せてもらえないだろうか」と語る。
一致するのは「これ以上解散・総選挙が延びれば、金がもたない」ということだけである。
民主の対決色は吉か凶か、決めるのは有権者である。
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