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特別取材

ユニークな事業で、北九州を元気にする企業経営者たち (株)フィルドサイエンス 濱野満子社長
特別取材
2008年10月28日 14:28

間伐材から除菌消臭剤・洗浄剤を開発。女性ならではのユニークな企業戦略
フィルドサイエンス濱野満子社長に聞く


株式会社フィルドサイエンス 代表取締役 濱野満子企業プロフィール
株式会社フィルドサイエンス
代表取締役 濱野満子
北九州市門司区新門司北2-2-9
主要事業:間伐材を原料とする除菌消臭剤・洗浄剤の製造販売

Q:まず何故「間伐材」に目をつけられたのでしょうか?
濱野:材木屋に嫁いだという縁もあったのでしょうが、1983年に人生の転機があり、何か世の中の役に立つ仕事がしたい!と乱暴にも環境庁に1人で乗り込んだのです。そこで環境の問題として、空気、水、音の問題があると教えられ、水の問題は難しそうだったので、空気の問題に取組んでみようと、その足ですぐに山梨県を抜けて長野県に向かったのです。

Q:非常に大胆な発想とすごい行動力ですね!
濱野:ぶどう畑や木曾ひのきを眺めながら、ニオイを消すことのできる植物の力をどうすれば商品にできるか考えていたのですが、足元を見たら無造作に間伐材が捨てられていたのです。そして「これ、タダ?」って聞いたのです。
山の持ち主が使っていいよと言ってくれたので、これを活かそうと決めたのが始まりです。

Q:植物にニオイを消す力があるというのはご存知だったのですか?
濱野:以前、毛髪分析の仕事をしていて、たまたまその会社に高野山の仏壇屋さんが口臭キャンデーを作りたいと植物のエキスを持ち込んできた際、安全性の検査を担当したことがあったので、自分でもっと植物の効果を勉強してみようと思ったのです。

Q:開発の段階でも大変だったのでしょうね。
濱野:最初は、間伐材から油を絞る蒸留釜も全くの手作りで木の桶や樋(トイ)の筒を利用しました。ようやくできたサンプルの油を大手の香料メーカーに持ち込んだのですが、バカにされ相手にされませんでした。
樹木の年輪の部分にはリグニンという成分があり、これに植物の柔軟性を保つ働きがあるのです。このリグニンをコンクリートに混ぜればひび割れもなくなるのではないかと思い、ポンポン菓子を作るような装置でリグニンを取り出そうとしていました。その作業の副産物で、きれいな油が採れ、実は消臭効果のある樹木のエキスを抽出することができたのです。
その後も失敗を繰り返しながら、1992年になってようやくいろいろな草木の成分を調合した天然成分100%で除菌もできる消臭剤PCKを開発・商品化したのです。

樹木のエキス抽出液から作った除菌消臭剤や除菌洗浄剤Q:最近、中国の冷凍食品農薬混入事件があり、食の安全が注目されていますが、食品工場向けの除菌・消臭・洗浄剤を作られている視点から、どのような対策が必要だとお考えですか?
濱野:野菜などの食材をいかに安全に食べるかという直接的な話では、まず植物の特性を理解して洗剤を選ぶことが必要だと思います。
多くの野菜は酸性の性質ですので、残留農薬を洗い流すためには通常多く使われているアルカリの洗剤よりも、酸性の洗剤で洗えば、表面についている汚れをギュッと締め、剥ぎ落としますので野菜自体の素材を痛めず美味しく食べられます。当社は酸性の洗剤も作っていますし、原材料は食品添加物として認可されたものだけですので、口に入っても安全です。
次に食の安全では、食材だけではなく、料理を作る過程(家庭も)の衛生管理がなにより重要です。コンビニや持ち帰り弁当に頼る食生活が大きな割合を占めてきていますので、当社としても食品加工の工場の衛生管理に一番力を入れて除菌・洗浄の徹底を訴えています。
当社としては、独自の菌の測定方法や使い易い除菌洗浄のマニュアルを作っております。またいろいろな洗剤を使い分けする必要がなくなるので手間もコストも軽減できると思います。
北九州の食品は安全だ! と評判がいただけるように、当社も協力していきたいと思います。

Q: 濱野社長のお話は、何故昔の建物にヒノキが使われていたかとか、とても面白く、目の前で洗浄の実験をしてくださって分かり易いですね。
濱野:植物のチカラは日本の伝統文化の中にしっかり根付いているのです。それも害虫などは殺すのではなく忌避させるなど自然の働きを活かしているのです。うちの商品で「蚊やり線香」というものがありますが、これは熊本の杉材を使い、蚊を麻痺させるものです。
日本の森林には青森ヒバ、木曾ヒノキなどまだまだ優れた品種があります。
最近大きな問題になっているノロウイルスに対してもこうした樹木から採れた成分を調合した除菌消臭剤を用いることで効果が得られることが実証されています。

Q:北九州/福岡の企業として今後活動したいことや行政に期待することはありますか?
濱野:何故か、私は福岡県材木流通対策協議会の理事に選ばれています。
県の森林資源の活用や大川地区の家具産業の活性化などの課題に対し、私のような異なる視点からの意見に期待が寄せられたのでしょうね。
現在、日本の住宅のほとんどは外材を使っていると思います。私は日本中の山を回っていますが、もっときちんと間伐を行ない、きれいな山を守っていかなければならないと思っています。
特に地元の住宅建設業界の方には、国産材の活用を検討いただければと願っています。
北九州や福岡の行政の方にはこれまでもいろいろお世話になっており感謝いたしておりますが、地元の産品や開発された商品をまず積極的に行政の機関で採用していただければと思います。
中小企業にとって具体的な販売ルートの拡大支援が一番ありがたいことですから。

取材後記:濱野社長は不思議な女性です。植物の精が乗り移って人間に自然の素晴らしさを教えてくれているようです。学校の課外授業の先生として子供たちに樹木の話を聞かせてあげればいいかも。
(株)フィルドサイエンス 093-483-3777

取材 松尾潤二



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