▲指摘を受けた九電のパンフレット(クリックすると拡大されます)
「1年間で約100,000円もおトク!」「30年間で約350万円も節約になります!」。住宅をオール電化にすると、ガス併用よりもこれだけ得をすると表示した九州電力のパンフレットについて、公正取引委員会は15日、景品表示法違反に抵触するとして、九電に対し同法の行政処分としては最も重い「排除命令」を出した。
公取は「初期投資や工事費、買い替えの費用が記載されておらず、これほどお得にはならない。光熱費の値段という重要な情報について消費者に誤解を与えた。市場に与える影響を考え、最も重い処分とした」話している。電力事業者への排除命令は初めて。
問題のパンフレットは九電が16万部作成し、昨年10月から今年8月まで使用。九電の支店や営業所、九州全域のショールームなどで配布された。パンフレットでは、ガスの併用とオール電化の住宅の光熱費を比較し、オール電化住宅が「1年間で約100,000円もおトク!」「30年間で約350万円も節約になります!」などと記載していた。
公取は、オール電化にするためには初期投資が必要だと指摘。エコキュート60万円~70万円、IHヒーター20万円~30万円、工事費20万円~30万円などが掛かり、さらに使用頻度によっては1回から2回の買い替えが必要となる。公取は「30年間だと200万円かそれ以上は掛かる」とみている。
九電は、06年4月から07年8月までのパンフレットには初期投資費用を記載していたが、翌年から削除していた。九電側は「排除命令を重く受け止め、お客さまに分かりやすい表示に努めてまいります」などとホームページで謝罪文を掲載、今後は初期費用を明記するとしている。