アメリカの金融危機が、九州の産業界にも影響を与えつつある。
日産自動車は21日、アメリカ向け輸出用自動車の生産工場である九州工場(福岡県苅田町)で、減産を実施することを公表した。対象となる期間は、11月から来年3月までの5カ月間で、当初の同期生産計画台数の17%に相当する、3万7,000台を減産するという。同時に、派遣社員2,000名の一部も削減する予定。九州工場は、2008年度の生産台数を50万台としていたが、達成は困難となる見通しだ。
減産されるのは、多目的スポーツ車の「ムラーノ」と「ローグ」。同社は、栃木工場(栃木県上三川町)でも9月以来、高級車「インフィニティ」1万台を減産中であり、来年3月までに、両工場合わせて7万5,000台を減産する見込みだという。
トヨタ九州工場(福岡県若宮市)も8月から減産に入っており、2008年度の生産台数は、前年度に比べ7万台減の、37万台を予定している。
福岡県は「北部九州自動車150万台生産拠点推進構想」のもと、自動車産業の誘致を進めている。計画は概ね順調にきており、目標達成は目の前だ。
県としては、自動車産業の集積はもちろん、それにより雇用の創出をもたらしたいとの方針がある。生産が減っては雇用も生まない。既に8月にはトヨタ自動車九州も生産台数の減産と派遣社員の削減を発表しており、行き詰まりを余儀なくされている状況だ。