対岸の火事かと思われた世界的な金融危機が日本にも波及しそうだ。赤信号が点滅し始めたのは、地銀、信金、信組、農協の地域金融機関。金融庁は、経営が不安視される金融機関に弾力的に公的資金を注入できるよう、金融機能強化法の改正に動き出した。
外資系に弱い地方銀行マン
下方修正ラッシュには驚くばかりだ。上場している地銀87行のうち半数を超える45行が、10月16日までに2009年3月期決算の業績予想を下方修正した。宮崎銀行が志多組の倒産による債権の取立て不能などによって9億円余の経常赤字に陥るほか、長崎市の十八銀行、三重県の第三銀行も赤字に陥る。西日本シティ銀行の通期予想も従来予想から経常利益がほぼ半減する。
最大の要因は、融資先の不動産・建設関連企業の倒産だが、見逃せないのが保有している有価証券の損失処理だ。自民党の金融族の若手参院議員は「預貸率が低いところほど損失が広がりそうです。地方の中小行を中心に数行ほど公的資金を注入しないといけないかもしれない」と打ち明ける。
集めた預金を地域の優良貸出先に融通できればいいのだが、公共事業の削減と代わる新産業が乏しい地方では、おいそれと優良貸出先が見つかるわけがない。そこで手を出したのが、リーマン・ブラザーズ、ドイチェ、JPモルガン、クレディ・スイスなど外資系金融機関が売りさばいたさまざまな外債や証券化商品だ。
「地銀の人はほとんど自分が買ったものが何か分かっていない。東京からパリッとしたスーツを着た外資系証券会社の人が来ると、それだけで気押されてしまうのがほとんどだ。ところが、地元ではエリートで通ってきた人たちが多いので、分からないものでも分からないとはいえず、分かった振りをしてしまう。自分たちが何を買ったのか分かっていない。そこが一番の問題です」と、先の参院議員は言う。
つづく