「剥落は事実だが、原因が特定できない。欠陥品ではない」。新幹線高架橋に使用されたパネル材「ASフォームⅠ型」に剥落する欠陥があったとして問題になっている株式会社麻生(本社・福岡県飯塚市)が30日、福岡市内のホテルで記者会見を開き、問題の製品についてこう主張した。今後同社は専門調査委員会を設置し、事実検証を行なう。
問題のパネル材は、九州新幹線や北陸新幹線などで使用されており、朝日新聞が入手した内部文書には、「欠陥品」「開発当初、各種試験を怠った」などと記載されていた。
しかし、会見で同社の古野金廣専務は「内部文書は確かに存在する」と認めたものの、「文書は担当者が書いたレポート」と主張。「剥落にはいろんな要因があり特定しづらい。欠陥があったとは考えていない」と繰り返した。
しかし、麻生社内では、内部文書で製品の欠陥が指摘されていただけでなく、問題発覚後に社内幹部も「欠陥はあった」と認める発言をしている。
社内の見解の矛盾について古野専務は「(欠陥を認めた)本人に十分な認識がなかった。勘違いしているなと私は感じた」と切り捨て、担当者のレポートは「私的なもの」とした。
話をまとめると、パネル材の担当者は、試験の怠りや剥落などがあり製品に欠陥があると判断し、それをレポートにまとめた。マスコミに剥落の問題が発覚後、記者団に説明した社員も欠陥があったことを認めた。しかし、この日の記者会見で古野専務は「欠陥はなかった」「あとは専門委員会の調査にお任せしたい」の一点張り。自身は内部文書の存在について「残念ながら知らなかった」としている。
同社が設置した専門調査委員会は、弁護士や大学教授、公認会計士らで組織。社員へのヒアリングや技術的な調査・分析を行い、「1カ月程度を目途に調査をまとめたい」としている。
欠陥の有無は調査委がまとめるとして、会見では社内の意思統一のまずさを露呈した。