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特別取材

丸美破綻の影響(3)
特別取材
2008年11月 3日 08:00

被害者の会が結成されたロマネスクリゾート菊南高齢者の被害と「ロマネスク」ブランド

 会員数を増やした背景として、地域の高齢者の存在も忘れてはならないだろう。わずかながらも蓄えを持ち、慣れ親しんだ田舎の地で静かな老後を過ごす地域の高齢者たちが最も欲するもの、それは金ではない。友人たちとの語らいの場であり、ともに入る温泉であり、ゆったりと流れる憩いのひとときなのだ。

 ロマネスクリゾートは、彼らにとって素晴らしい憩いの場であった。会員権を買えば、友人たちと楽しい余生を共有できる。しかも、数年後には預けた金がそのまま戻ってくるとなれば、これに乗らない手は無い。丸美の担当者(セールス担当でもある)も、遠くで暮らす息子のように親切このうえない。そうなれば、会員の誘いを断る理由はどこにも見当たらない、というのが自然の流れだった。

 結果は、リゾートホテル周辺の高齢者が「ご近所お誘いあわせのうえ」被害に遭い、老後の蓄えと愛すべき憩いの場を失うことになってしまった。誘った手前、なかには大事な友人すら失ってしまった方々もおられるかと思うと胸が痛む。丸美被害者の会のメンバーは、「自分たちの損を取り戻したい思いは当然ありました。でも、お爺ちゃん、お婆ちゃんたちの話は、それ以上に私たちを駆り立てています。お金だけでなく、生きる喜びまで奪った金丸氏は人間として許せません」と語ってくれた。

 高齢者の心の隙につけ入るような犯罪の手口はよく見られるが、かかる一面が今回の事件でも明るみに出てきたことは残念でならない。
 また、リゾートホテルに限らず、ホテル業は地域的背景無しには成り立たない事業でもある。なぜなら、宿泊客はホテルのサービスのみならず、その地の風土や環境まで含めてホテルを評価し、利用するからである。地域住民をも裏切ることになった今回の破綻は、ロマネスクリゾート各施設の今後の運営に大きな影を落とすことになるだろう。(特別取材班)

つづく


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