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特別取材

古典に学ぶ・乱世を生き抜く智恵 劇団エーテル主宰・画家 中島 淳一 (上)
特別取材
2008年11月 8日 08:00

トーマス・ホッブス「リヴァイアサン」 ―万人の万人に対する戦い―

劇団エーテル主宰・画家 中島 淳一 近代政治学の祖、トーマス・ホッブス(1588-1679)は、英国の田舎町マクスベリに生まれた。父親は国教会の牧師であったが、短気な性格で、妻子を捨てて出奔。ホッブスは叔父の援助でオックスフォード大学を卒業し、有力な貴族の家庭教師となり、フランスやイタリアに旅行、デカルトやガリレイと親交を結び、自然哲学的・実証的方法論を学んだ。

 イギリスに帰国後はフランシス・ベーコンの秘書として、著作のラテン語訳を手伝う。また、皇太子チャールズ2世の数学教師も務めた。1640年末、クロムウェルの革命を予感してフランスへ亡命。51年、63歳にして入魂の力作「リヴァイアサン」を出版するも教会からは無神論と見なされ、王覚派からも危険思想家として非難される。ところが逆に、革命政権からは歓迎されることとなった。60年、王政復古でチャールズ2世が即位すると、厚遇を受け、著作活動に専念して一生を終えた。

●万人の万人に対する戦い

 人間は自己保存の欲求を追求するために自己の力を用いる無制限の自由を持っている。これは人間の平等の権利、すなわち<自然権>である。

 ところが、すべての人間がお互いにその権利を行使しようとすれば、利害が対立し衝突が起こる。「人間は人間に対して狼」となり、「万人の万人に対する戦い」の状態に陥る。

つづく

     

 
 
 


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