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特別取材

マンションの共同開発から撤退し請負業者としての本質に回帰する(上)
特別取材
2008年11月 8日 08:00

九州建設(株) 代表取締役社長 辻 長光 氏

 創業110年を超える地場屈指の老舗ゼネコン・九州建設(株)。いち早く欧米の先進技術を取り入れるなど、進取の気性と高い技術力を背景に、これまで地域のランドマークとなる施設を数多く建設。近年は分譲や賃貸マンションの工事を事業の柱に大きく業績を伸ばしてきた。だが、マンション市況の急激な悪化の煽りを受け、焦げ付きの発生や回収が懸念される案件を抱えているという風評からさまざまな憶測が流れている。「今後は請負業に回帰していく」と話す辻社長に、同社の現状と見通しについて尋ねた。(聞き手:弊社代表 児玉 直)

[COMPANY INFORMATION]
九州建設(株) 代表取締役社長 辻 長光 氏所在地:福岡市博多区博多駅南1-8-31
創 業:1894年10月
設 立:1949年3月
資本金:4億9,750万円
年 商:(08/5)125億9,100万円

資金の立て替えはせず 請負の原点回帰を図る

 ―上場、非上場問わず企業の経営環境は急速に悪化しています。サブプライムローン問題に端を発したファンド撤退で1棟売りのビジネスモデルは崩壊しました。しかし、資金繰りさえつけば持ちこたえられるデベロッパーはあると見ています。
  デベロッパーは今、どこも青息吐息といった感じで、実際、いつ、どこが破綻するか予断を許さない状況です。その煽りを受け、建設業界の先行きも不透明になっています。

 ―ただ、地場デベロッパーのなかには自社独自の得意分野を極めているところもあります。たとえば、コーセーアールイーや西武ハウス、ファミリー、中村建設などですが、この4社は現在の厳しい状況を乗り切れると思います。九州建設はマンションの受注割合が高く、
資金を立て替えるケースもあるようですが、現状をどのように見ていますか。

  かつては資金力のある企業から受注するケースが多く、資金を立て替えることはありませんでした。それがここ数年のうちに変化してきた。しかし、現状ではそうした受注は止めざるを得ない。やはり、請負の本質に戻る必要があるだろうと。デベロッパーにも竣工時にどれだけ支払ってくれるかで判断させていただきたいと話しています。

 ―九州建設はこの5年間で4,000戸を建てていますが、市場は供給過多の状態です。
  マンション需給の調整局面はあるでしょう。しかし、市場そのものはあるはずです。

 ―デベロッパーとの共同事業かどうかは別にして、今後のマンション事業分野は。
  今後は共同事業としてマンションをやる考えはありません。ただ、請負のリスクヘッジとして自社物件をもつことを前提にしたマンション開発は考えられます。

 ―1棟売りも想定しているのですか。
  いえ、最初から売却を考えてマンションを開発するつもりはありません。良くも悪くも、当社は現場の"技術屋"中心の会社です。間接部門の人員を増やしても意味がありません。あくまでも、本業は請負に特化していく。そして、提案営業は関連会社の九州REEDコーポレーションに特化して展開していく方針です。

つづく


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