今、金沢や横浜といった都市が目指しているのは「国際交流都市」でもなければ「情報産業都市」でもない。「創造的」という言葉で表現される都市像である。では、創造的あるいは創造的な生き方とはどのようなものなのか。
ダニエル・ピンクの著作「ハイ・コンセプト」によれば、すでにMBAの時代は終わり、MFA(アートの修士)の時代が来ているという。つまり大量の情報を調査・分析し、新たな方向性を導き、企業の効率をあげるといったMBA的手法に基づく企業戦略では、企業が経験したことの無い経済状況に直面したときにはほとんど無力であると指摘する。これに代わって求められる能力は、既成概念を破り、今までに無かった発想ができるアーティスト的なものであり、アメリカの成長する企業は経営陣にこのような人材(才能)をすでに登用しているという。このような人材をリチャード・フロリダは「クリエイティブ・クラス」と呼ぶ。つまりクラス=階層ではあるが、経済的成功や社会的名声という指標でその達成感が計られた今までの階層とは異なる。
この新しい階層の人々が目指す価値観は、目指すものが「クリエイティブ(創造的)」であるかどうかというのが基準であり、同じ仕事を単に効率向上を目指しマニュアル通りに行なうことを拒否する生き方、仕事あるいは社会的使命を意味している。たとえば、デザイナー、科学者、教育者、医者、建築家などは、極めて分かりやすいクリエイティブな職能であり、その周辺を弁護士、会計士、エンジニアなどといった職能が取り巻いている。
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