不動産流動化は経済回復に寄与した反面、優良地不動産取得の過熱化などで不動産バブルを再来させてしまっていた。
福岡の場合、とくに不動産市場は深刻であろう。都心部の容積率は未だ変更されず、オフィス空室率も全国平均より高い9~10%程度で推移し、昨今では供給過多に陥って需給バランスが崩れてしまっている。都心部では家賃が上がらず、一部ではバルクセールが行なわれ、新築オフィスビルが空室率を押し上げる結果となっている。
そこで福岡市内におけるJ-REITのポートフォリオを調べてみた(J-REITの決算期は年2回でばらつきがある。そのため便宜上、最新の数字を“直近”、直前の数字を“前期”と表示する)。07年までは取得が先行したこともあり、保有物件取得総額は取得価格ベースで1,825億6,000万円、64件のポートフォリオがあった。
08年に入ると、野村不動産系が積極的に取得する一方、福岡市場に見切りをつけたケネディクス不動産が「ZARA天神西通」などを立て続けに売却したこともあり(唯一取得した「KDX博多南ビル」は昨年12月の契約)、直近でわずか5件増の69件にとどまっている。
売却物件も含めた取得価格ベースの取得比率は、オフィスが41.0%(820億1,900万円)、住居が16.1%(321億400万円)、商業施設が40.1%(都市型556億700万円、郊外型246億5,000万円)、ホテルが2.8%(55億3,200万円)となっている。 【大根田康介】
~つづく~
※記事へのご意見はこちら