福岡市の港湾土木会社で、新規事業として塩やミネラルウォーターの製造販売ならびに海水淡水化プラントの開発販売事業を手がける博多港管理(株)が、韓国企業向けに開発していた全自動の製塩・ミネラルウォータープラントがこのほど完成。今月17日までに博多港からの積み出しを予定している。
同プラントは水処理プラントメーカーの(株)弁天(福岡県新宮町)と博多港管理(株)が共同開発していたもの。くみ上げた海水を真水と塩、ミネラルに分け、最後に真水にミネラルを添加してミネラルウォーターを製造という一連の工程を全自動で行うというのが大きな特徴。また、24時間で150tの海水をくみ上げ、90tの真水と240kgの塩、70kgのミネラルを製造できるという高い処理能力を備えている。
海水淡水化を自動で行えるプラントは他社製品の中にもあるが、ミネラルウォーター製造までを全自動で行うというプラントは他に例が無いという。また、除菌能力に優れた電解強酸性水(次亜塩素水)でプラント全体を自動洗浄する装置を装備し、メンテナンスの負担を大幅に軽減できるというのも同プラントならではの特徴だという。
博多港管理(株)は漁業者の転業対策として1975年3月に設立。以来、博多湾内を中心とした港湾土木事業で数々の実績を上げてきた。しかし、近年の公共事業の縮減の流れの中、港湾土木工事も漸減。そこで同社では2005年8月、「海の中道奈多海水淡水化センター」で処理された後の濃縮海水を使った製塩やミネラルウォーター販売といった新規事業に乗り出し、水処理プラントの開発販売まで手がけるようになったという経緯を持つ。
これまでに国内企業の製塩プラントの開発実績はあるが、海外企業向けに、しかもミネラルウォーターの製造まで行う大規模なプラントは初開発となる。今後は水問題を抱える海外の国や地域などへの売込みも目指す。
一方、プラントを共同開発している(株)弁天が製造特許を所有する自動除菌洗浄装置で作られる電解強酸性水は、薬品を使わずに大腸菌やバクテリアなどを除去でき、食品衛生法で食品への添加も認められたもの。その応用分野も幅広く、まずは消毒や除菌のニーズが高い医療機関や介護施設などに対し、同装置を単体で提案していきたいとするなど、プラントや装置の開発・販売に力を入れている。
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