福岡の9月の新築住宅着工件数は、前年同月比83.0%増の4,076戸を記録、賃貸マンションも同109.0%増、分譲マンションは特に310.4%増の870戸という驚異的増加で、建築業界は一安心と思われるが、実際には依然として厳しい環境にある。
竣工から1年も経過している完成在庫は、現在1割5分引きから2割引きで販売されるのが当たりまえとなっている中、新たに着工された分譲マンションも、販売開始(鉄鋼等材料高で原価が高い)されている。(値引きの)完成在庫と建築着工分とでは価格差が歴然としており、安いものほど売れることを考えると、これまで懸案となっていた完成在庫数が大きく好転する可能性も聞かれる。
しかし、実際に好転するのだろうか。依然として市況の冷え込みが続いており、マンション市況が好転しているとは思えない。
実際に、対前年同月比で310.4%増の870戸といっても、一昨年は1,000戸を超える1,145戸の供給実績であり、改正建築基準法前の水準まで戻りきっていないのが現状である。
この現実を数字だけで「伸びた伸びた」と思っても、実際の市場の現実を見ると、マンション市場が回復するのには、まだ暫く時間が必要である。(つづく)
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