作州商事は同業他社よりも健闘をしていた
作州商事はオーナー城戸辰徳氏が脱税で逮捕されて以降、樺島氏が社長に就任した。「強気一本で通るさすがの城戸氏も、裁判の過程で神経をすり減らしたのであろう」と推察される。病との闘いに苦悶した(肺がんとの闘病生活に陥った)城戸氏が表に出られないという変則指導体制の中でも、この厳しい局面の中、同社は同業他社以上に健闘をしていた。熊本に取材に行くと必ず「どうして作州商事はマンションをあれだけ売りきれるのであろうか」と同業者が首を捻りつつ質問をしてきた。
確かに、指摘の通り各地区での販売戦線でも、売り上げ不振で在庫を山積みするというような、頭を痛める現場はなかった。城戸氏が表に出ず、陣頭指揮をしなくともマンションを売りきることには感服した。だからこそ弊社発行の情報誌IB-No.1384(11月10日号)での作州商事の健闘記事を紹介したのである。決しておべっか記事ではない。ありのままをレポ-トにしたのである。借り入れを確実に減額するとは、この時期「見事、あっぱれ」と言わざるにはおれない。作州商事の経営実情を告知して同業の奮起を願った企画だったのだ。
誰でも認めている『城戸オーナーの支配の事実』
7日の夜、博多座前の通りで城戸氏の訃報を関係者に電話していた。そこに、「コダマさん!!」と声がかかったので後ろを振り向いた。金融会社の社長が部下二人を連れて歩いていたのだ。「城戸さんが亡くなったですよ」と伝えたら「どこの城戸さん?」と質問が返ってきた。「ほら、貴社には沢山、儲けさせてくれたではないですか。あの作州商事の城戸さんですよ」と告げると「げー、何時死んだの?」と仰天の顔をされた。「肺がんを患っていたのです。今朝の4時だったそうです」と説明すると、やっと納得の顔。
「ところでコダマさん!!情報誌IBでは作州商事をずいぶん良く書いていたのではないか」とこの社長が話題を変えてきた。「いや、確かに厳しい中で作州商事は奮闘をしています。ところであの記事に関して作州商事がクレームをつけてきています」と裏話を伝えたら興味津津な顔をして「どういう言いがかりをつけてきた?褒めてもらっていて感謝すべきところを、抗議するとは腑に落ちないなー」と身を乗り出してきた。
「いやー、実はですね。あの文中の『オーナーの城戸氏が運営する作州商事』とか『城戸氏は以前から超ワンマンで知られている』という表現が事実に反する。営業妨害に該当する。よって、即刻、記事の連載中止を求めると言ってきているのですよ」と事実経過を報告した。これを聞いて金融社長は興ざめの顔になった。「おいおい、コダマさんよ!!作州商事に関しては城戸氏が指導しなくて誰がやるのだ。樺島は昔からよーく知っている。驚いた文書を送ってきたものだな」と言い捨てた。金融会社の社長同様に作州商事を知っている人は異口同音に断言する。「作州商事は城戸さんの会社だ。彼なしでは誰も会社を回しきれない」。(続く)
*参考記事: 情報誌IB-No.1384(11月10日号)/デベロッパー淘汰の時代シリーズ
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