九州国際大学(北九州市八幡東区)国際関係学部に2009年4月「ハングル・コース」が新しく開設される。
最近の世界的金融危機のあおりで韓国経済も大きな影響を受け、ウォン安・円高が進み、日本への韓国人旅行者は減少しているが、九州を訪れる外国人の約7割は韓国からであり、また九州にとって韓国は最大の貿易輸出国でもある。
しかし九州は、関東、関西よりも中国、韓国との関係で地の利があるにもかかわらず、アジアビジネスを推し進める人材の育成が遅れている。
九州国際大学は、これまでも中国や韓国との関係に焦点を当てカリキュラムを組んできたが、よりビジネスに直結した人材の育成をはかるため、来年4月に国際関係学部国際関係学科に「ハングル・コース」を開設する。
ただ韓国語を学ぶのではなく、韓国ビジネスの即戦力になる人材を育成するため、(有)ネイバーズ代表取締役の森脇喜一氏に「ハングル・コース」の総合プロデュースを依頼し、これまでの大学教育にない実践ハングル教育が行なわれる。
森脇氏は、日本との交流が限られていた70年代に高麗大学に留学し、韓国の企業・研究所で働いた後に帰国。北九州で韓国とのビジネスコンサルタントや行政の韓国・中国イベントのコーディネーターとして活躍、幅広い韓国人脈を持っている。
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これまで多くの大学で韓国語を学ぶ場はあったが、実際の韓国とのビジネスを知り尽くした森脇氏がプロデュースする九州国際大学の「ハングル・コース」は注目だろう。
森脇氏に「ハングル・コース」開設の意気込みを聞いた。
「今の韓国の経済危機は、10年前の危機と比べて、まだ外貨準備も十分にあり、大手企業グループは体力もつけているので、韓国自体の力と日韓の連携で必ず乗り切れると思います。
また中国での韓国企業の投資を見ても、山東省や遼寧省など朝鮮族の多い地域では特に、国際的に高い生産性と競争力を誇っています。
日本にとって、特に九州と韓国とのつながりは、多少のゆらぎはあっても今後とも太くなっていくことは間違いありません。
しかし、ビジネスや行政の交流の現場では、例えば九州にはトップクラスの日韓同時通訳者が2人しかいないのが現状です。
日韓のビジネスや文化面での交流を深めていくためには、お互いの社会背景やビジネス感覚の違いをしっかり理解した上で交渉できる人材を、地元九州でもっと多く育てていかなければなりません。」
九州国際大学も少子化の流れで学生獲得競争が激しい中、韓国に近い特性を活かして、地域に本当に必要な人材の育成を図り、学生や企業から『北九州に必要な大学』としての評価を高めようとしている。
森脇氏は韓国との関係だけでなく、環黄海エリアでの日中韓の経済交流・教育の重要性をこれまでも訴えてきた。
その試金石として、九州国際大学での取組みがどのような成果を挙げるのか期待したい。
(詳しくは九州国際大学のHPを http://www.kiu.ac.jp/)
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