11月2日から4日にかけて、中国の上海・南京の視察にいった。目的は、超高層ビル「上海環球金融中心」を手掛けた森ビルと、元福岡地所の藤賢一氏が手掛けた「南京水游城」の今後を占うためだ。両者とも「日本市場に閉じこもっていてはダメだ」という気概を持ち、中国市場に対して果敢に挑戦した。
しかし、その想いとは裏腹に、試練の壁が眼前で行く手を阻んでいる。中国という巨大な経済圏のなかで、日本企業に勝ち残る術はあるのだろうか。
そびえ立つ超高層建築物、行き交う多くの車、さまざまな国籍の人々の往来――。上海の地に降り立った瞬間、目に飛び込んでくる光景だ。中国全体の人口は07年度末時点で13億1,788万人、GDP(国内総生産)は24兆6,619億元。一方、上海のGDPは07年度末現在で1兆2,188億元、およそ30年間ずっと右肩上がりの経済成長ぶりである。
ただ、青天井かに見えた上海の経済成長も、08年上半期は成長率が10.3%にとどまり、
踊り場を迎えつつあるようだ。そうしたなか、今年8月30日、東京に本社を置く森ビルは高さ492m、101階建ての超高層複合ビル「上海環球金融中心」を開業した。
しかし一部報道によれば、金融危機も響き、10月末現在で、このビルのオフィス契約率は50%にとどまっている様子。このビルの成功いかんが、森ビル自身がこの不動産市況のなかで生き残れるかどうか、それを占う状況になっていると考えられる。【大根田康介】
~【南京編】につづく~
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