キリンは、オーストラリア(豪州)コカ・コーラ社の買収を計画していたが、豪州側から拒否され見直しを迫られている。
ビールのキリンが国際化をはかったのは、同社がウィスキー部門に進出した1972年だろう。仏シーグラムと合弁会社を作ったときであるが、そのウィスキーはあくまで国内向けであった。
国内では強い同社も、中国を含めた国際戦略においてサントリーに後れをとっている。
同社の事業は酒類・飲料・医薬へと展開しており、売上高は計1兆8,000億円(07/12)。
今回の豪州コカ社買収は見直しを迫られるが、豊富な資金を有しており、世界的な株安という後押しもあって、今後も世界の飲料メーカーをターゲットに買収を進めていくものと思われる。
ところで近畿コカ・コーラ社は、元々キリンが41.1%の株を有するキリン傘下企業であった(1960年代にはコカ・コーラはキリンの尼崎工場で〔製造委託を受け〕生産していた)。
しかし、2006年7月、日本コカ・コーラ社の経営見直しの中で近畿コカ社は福岡のコカ・コーラウェストジャパンと共に持株会社を作り、コカ・コーラウェストホールディングスに経営統合された経緯がある。
そうした事情をうけての、美味しいコカ・コーラの味を知っているキリンによる、豪州コカ社の買収劇であったと思われる。
コカ・コーラウェストホールディングス株の保有率は、リコー(コカ・コーラウェストジャパン大株主)が15.1%を持つ筆頭株主であり、キリンは10.4%で第2位である。コカ・コーラウエストホールディングスの売上高は4,095億円(07/12)。
以上、縁も所縁(ゆかり)もあるキリンとコカ・コーラである。
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