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特別取材

熱気渦巻く上海・南京 巨大市場への挑戦と苦難(4)
特別取材
2008年11月26日 11:36

空室は埋まらず(上海)

隣の金茂大厦(右、高さ420.5m)と競い合うようにして立つ 上海環球金融中心(左) その後、上海経済の成長に歯止めが掛かりだしたころにSWFCは開業した。総事業費は700億円程度を予想していたらしいが、計画変更や火災に見舞われたこともあり1,250億円にまで膨らんだ。また、開業時の入居率は45%と厳しい船出となった。  

 当初想定の稼働率は開業時30%だったから、予想より上回っているとはいえ、1年後に見込む90%への到達は難しいのが現状だ。12年間で資金回収する計画だが、これは現在の金融状況になる前の計画で、もう少しスパンが伸びると見た方がよかろう。

 オフィス賃料は1m21日あたり約3ドル。日本のオフィスビル賃料で計算すると3.3m2(一坪)当たり35,000円程度で、六本木や渋谷の既存ビルとほぼ同水準の賃料だ。しかし、4年間右肩上がりが続いた浦東新区のオフィスビル賃料は、08年第3四半期(7~9月)で7%下落した。仮に第4四半期も下落傾向が続けば、オフィス賃料も調整局面に入ったと捉えられよう。

 こうしたなか、金融危機も響いてSWFCのオフィス契約率が50%にとどまっていると時事通信が報じた。森ビルの森稔社長が10月26日、上海市内で記者会見し、SWFCのオフィス賃貸契約について「予定していた米系メガバンクの動きが止まってしまった」と述べ、アメリカ発の金融危機の影響が出ていることを明らかにした。

 森ビルが手掛けた六本木ヒルズのブランド力に陰りが見え始めており、SWFCも振るわないとなると、同社自身がこの不動産市況のなかで生き残れるかどうかが問われることになる。

【大根田康介】
~つづく~


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