吉田宏福岡市長の就任から2年が経とうとしている。12月7日で折り返し点を迎える吉田市政だが、そろそろマスコミ各社が検証記事を準備する時期でもある。
　ところが、市長の余りの迷走ぶりに戸惑う記者の声ばかりが聞こえてくる。迷走と言うより「お粗末」と表現せざるを得ない２年間に、市民からの批判も急上昇。リコールの声もあがり始めており、「4年間もつのか？」が残任期間の焦点になりそうだ。

民主党との関係に溝
　
　吉田宏氏は民主党が単独推薦し当選させた、福岡市政史上初の市長である。しかし、市長就任から1年前後でその民主党との間に秋風が・・・。県連の会合に出席した吉田市長が、大相撲を理由にそそくさと帰った時などは、「ふざけてる」と憤る議員ばかり。現在は民主党の市議会議員との接触さえ避ける状態にあるといわれる。06年の市長選挙時、民主党の市長候補決定までの過程で、吉田氏以外の人物を推した市議団は、もともと吉田氏としっくりきていなかったとされ、その傾向はますます顕著になり始めているようだ。

　吉田市長誕生の最大の功労者とされる民主党県連幹部も、市長とは絶縁状態だという。確認したところ「吉田の携帯（の番号）は削除したよ」とそっけない。経済人とは頻繁に飲み食いするが、民主党関係者との付き合いは少ないという。

　複数の市役所関係者によると、吉田市長が頼っているのは、民主党ではなく「麻生太郎氏」なのだという。現在の内閣総理大臣である。「太郎さん、吉田さんのことかわいがってるもんね」いきなり情報を裏付ける証言にもぶつかった。吉田市長が地元紙記者時代、麻生番を勤めていた関係といわれるが、それにしても民主党はなめられたものである。何千万円もの軍資金を出して系列市長を誕生させたにもかかわらず、民主党を袖にして、自民党に近づく節操のなさに文句さえ言えない状況。民主党関係者の中には「吉田とはかかわり合いたくないから・・・」と吐き捨てる人間もいるほどだ。

　マスコミを前に「私は民主党ではないから」と突き放す市長・・・。民主党の候補者だからということで１票を入れた有権者は多かったはずだが、吉田市長はまずその原点を踏みにじっている。吉田市長の検証は、実はそこから始めねばならないということだ。
　

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