吉田宏市長の2年間を検証しようにも、特筆すべき実績がまるでない。財政問題に取り組んだと言いたいかもしれないが、桑原・山崎両元市長時代でも同じことをやっていたはず。それではこの2年、吉田市長は何をやってきたのだろう。
吉田宏氏が市長選にあたって前面に打ち出した戦術は、何といっても山崎市政との対比である。唐突にオリンピック誘致を決めた山崎広太郎前市長との違いを出すため、「どこで何が起こっているのか分からないというのではいけない」(マニフェスト討論会での発言)として、政策決定過程をオープンにするということを強調した。市民の声を聞かない山崎さんに対し「聞きたかけん」をキャッチコピーに使い、「市民の声を聞く吉田」を印象付けた。これは公的でもあるが、吉田市長が死守すべき政治信条でもある。しかし、肝心の政治信条「聞きたかけん」がポーズだけだったとしたら、公約達成度を評価する以前に、政治家失格の烙印を押すしかあるまい。事実、こども病院の人工島移転問題に関して、吉田氏が患者家族とひざを突き合わせて語り合う、というようなことは一切なかった。方針が決まってから、それを伝えに出て行っただけである。これでは市民の話を聞いたことにはならない。
こども病院問題では、一般市民向け説明会にすら姿を現すことがなかった。市民からのつきあげを恐れて、わざわざ「出張」の日程を入れ、逃げ回っただけである。何が「聞きたかけん」なのか!そうした市民からの声は日増しに大きくなっている。都合が悪くなると開き直るか、逃げるか。そうした吉田氏の姿勢こそ歴代市長の中では最低と言われるゆえんでもある。「政治家失格」。2年目にして、そうした見方は定着しつつある。(つづく)
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