通販見据えた地域密着戦略
県内販売のみで、3年で10億円伸ばす爆発力を有するだけに、全国の有力百貨店や商業施設からの引き合いは多い。9月に大阪の百貨店で開催された九州の物産展では売り上げは昨年の2倍、全出展商品中トップとなった。東京で開催された物産展でも売り上げは2倍以上伸びており、人気の拡大は県外のほうがより加速度的だと言える。仕方によっては全国に飛翔するのも可能なはずだ。しかし、土産菓子としての特徴を生かすためにも「県外に出る気はまったくない」(同社)。
もとより、製品へのこだわりから来る地域密着戦略である。近々、福岡県筑紫野市のイオンモールへの出店を計画しているが、その他の販路は福岡県内の空港、駅、百貨店、ショッピングモールなどの直営店のみに絞って地域密着型を徹底している。それゆえ、今回の新工場もこれまでどおり本社側に建設した。
地域密着戦略の先には別の販売戦略も見えてくる。それが通販部門の強化である。「博多通りもん」の味を知る遠方客は通販へ流れ込むはずだ。将来的に10億円程度を見据える同部門の早期目標達成が現実味を帯びてくる。
だが、これほどの配慮にも関わらず、他社であれば屋台骨をゆるがしかねない不測のピンチが訪れた。昨年末、「博多通りもん」を含めた3商品について、原材料に添加物である「トレハロース」の記載漏れがあることが分かったのだ。