福岡市政上の重要課題について決定を下す「市政運営会議」の議事録(情報公開請求で入手)から、吉田宏福岡市長が、移転・新設が予定される新こども病院について、基本的なことを全く理解していなかったことが判明した。
こども病院の人工島移転を正式決定したのは、今年7月28日の同会議である。このときの議事録を見ると、議題は「新市立病院創設事業について」であり、決定事項として「新病院の医療機能、規模及び整備場所について、局案どおり決定。」とある。まさにこの会議で、こども病院の人工島移転が決められている。それまで、市役所内部での議論はもちろん、議会や患者家族、市民とのやり取りが繰り広げられており、こども病院の基本的な役割は市長として十分理解していたはずである。しかし、市長は新病院の目玉となる「周産期医療」の果たすべき役割について、基本中の基本を理解していなかった。
今年9月1日の市政運営会議議事録をご覧いただきたい。決定事項欄からは、この日の会議が「新病院基本構想(案)」を決定するものだったことが分かる。この会議の席上、吉田市長が発した質問は、まさに役人任せで計画が進められ、市長自身は何も分かっていなかったことを証明するものだ。
「周産期医療まで広げるわけだが、母子ともに健康で生まれてくるであろう方も、新病院で産みたい場合は、対応することになるのか。」これが、こども病院を人工島に移転させる決定をした1ヶ月も後に出てくる言葉だろうか。
この発言から見えてくるのは、吉田市長が新こども病院について、どのような病院になるのかも理解せぬまま、計画は全て役人の言いなりだったということだ。「はじめに人工島ありき」だけが至上命題だったということにもなる。数百億の税金投入が見込まれる事業であるにもかかわらず、移転先を人工島に決めることに血道をあげ、新病院が対応する対象さえ把握していなかったとしたら、とんだお粗末である。こんな市長に市政を任せ続けていいはずがない。07年5月からの市政運営会議議事録からは、さらにレベルの低い市政の状況が見えてくる。
つづく