福岡空港の過密化対策を調査している福岡空港調査連絡調整会議(国交省、福岡県、福岡市で構成)は12日夜、海上空港の建設候補地になっている新宮町で地元説明会を開催した。会場には予想を大幅に上回る150名が参加した。
説明会は、国交省からの説明のあと参加者の質問や意見が相次ぎ、予定を30分オーバーして終了した。参加者の多くは、環境への影響を心配する声や莫大な事業費がかかることへの批判が相次いだ。
町民から「沖合に巨大な空港ができれば環境への影響は計り知れない。白砂青松の砂浜がなくなる」「玄海灘は風が強く、工事中は何年間も砂が町に運ばれる、人への影響が心配」など環境悪化への懸念の声が相次いだ。
「本当に造る必要があるのか。税金の無駄遣いだ」「事業費の地元負担を明らかにして欲しい。アクセス費用も妥当なのか」といった莫大な事業費についての疑問の声が出された。
これに対して国からは「海上空港と決まっているわけではないので、負担割合はわからない。事業費はあくまでも目安だ」と回答し会場からは不満の声。
また「海上空港が地盤沈下することはないのか」という質問に、国は「地盤調査はしていないが、関西空港のようにはならない」と回答。
さらに「相島などを世界遺産にという動きがあるが、空港建設との関係は」という質問に対して、「知りません」と国は回答し、縦割り行政の弱点を露呈。
会場から「最終的には誰が、いつ決定するのか」という質問があり、国から「国(国土交通大臣)が、県や町の意向をふまえ判断する」と回答した。
一方、地元商工会からは「新空港の誘致に向けて取り組む」という意見も出された。
説明会に参加した女性は終了後「国は事業費の負担などはっきりしたことを言わないのはおかしい。数字を隠している。こうした中で新空港が決まることは許されない。情報を町民に全て公表し、議論をやり直すべきだ」と話した。
福岡空港をめぐっては今後、地元住民の動きだけではなく、県内の新空港推進派や反対派、そして県知事、福岡市長の判断を左右する「政治的な戦い」へと展開していくことになった。