14日、ディックスクロキ(福岡市)が倒産した。上場不動産企業の倒産は、今年14件目になるとされる。ジャスダック市場の同社株については、本日(15日)付けで整理ポストに回され来月15日に上場廃止となる。同社が株式市場から退場することの意味は、ただそれだけにとどまらない。「元気な都市・福岡」が、金融危機の直撃を受けたことの衝撃は大きい。
1984年創業の同社は、マンション・商業ビルを建設後、ファンドを含む投資家に転売し、利益を上げるというビジネスモデルで成長してきた。事業物件は福岡市内が中心であったことから、福岡市の地価上昇を演出した企業であったとも言える。「日本一元気な都市」とも評された福岡市だけに、その牽引役を果たしてきた同社倒産のニュースが、地元経済に与えたショックは深刻である。市内の一等地であるはずの旧ハミングバード駐車場ビルや、学校法人・都築学園から購入した旧岩田屋体育館などの所有物件は、結局買い手がつかず、同社にとっての致命傷となった。金融危機の影響とはいえ、福岡市の成長にもかげりが見えはじめた、と感じ取る向きもあろう。(ちなみに、超一等地である旧岩田屋本館は、都築学園が所有したまま廃墟同然の状態である。)
地場企業の衰退は、「別の意味でも問題がある」と、ある金融関係者は語る。「地場不動産の倒産が続き、福岡の主な土地やビルは、外資や国内大手企業のものばかりになる。そのうち公有地と個人所有の土地以外は、市外の資本に押さえられるんじゃないか」さらに、「福銀をはじめとする地場銀行には、福岡を引っ張ってきた企業を助けるという姿勢が全く見えない。貸し渋り、貸し剥がしは日常茶飯。ディックスクロキは不動産の転売だけではなく、マンション管理でも8,000戸前後の業務を有している。裾野が広いだけに、今後の展開次第でさらに影響が拡大する。ディックスクロキの経営責任だけでなく、いい時だけ融資を続けてきた銀行の姿勢も問われるべき」という。
いずれにしても突然の倒産劇、週末明けからの同社関連の動きが注目される。