佐賀県武雄市の武雄市民病院が揺れている。赤字の同病院を民間に委譲することを決めていた武雄市だが、委譲先に選ばれた福岡市東区の医療法人「池友会」をめぐり、市長の進退にまで発展する事態となっている。「池友会」は福岡和白病院をはじめ新小文字病院(北九州市)など数多くの病院や医療施設を運営する巨大法人。会長の蒲池真澄氏は「政治」との関わりでも注目されている。
いわゆる「偽メール事件」で議員辞職した永田寿康氏が蒲池氏の実子であることは知られている。
永田氏といえば、旧選挙区の千葉を離れ福岡県内にいたところ、先週12日に行方が分からなくなり、関係者から警察に「保護願」が出された(県政関係者)という。幸い無事に保護されたらしいが、18日、一部報道では「自殺未遂」という仰々しい見出しで報じられ、騒ぎとなっていた。
蒲池会長の政治好きは、実子に対して向けられたものだけではない。病院関係者を福岡市議会に送り込んだかと思えば、民主党福岡2区の支部長を務める稲富修二氏(07年、福岡県知事選挙民主党推薦候補)の面倒をみていたともされる。稲富氏が支部長になった昨年、「民主党福岡県第2区総支部」に対して、蒲池氏と夫人がそれぞれ150万円ずつ寄附している。
武雄市民病院の委譲を受けた場合、池友会側は同病院を3次医療専門の病院にすると言われている。俗に言う「金持ち専門病院」であり、本来の市民病院の理想からは程遠いものとなってしまう。
地元医師会をはじめ、多くの市民が反対の意思表示をし、リコールの動きにまで発展している。武雄市長はリコールの動きが顕在化した時点で、機先を制して辞職すると報じられている。しかし、武雄市民にとっては、市長の去就以上に、病院の行方こそが死活問題である。
なにかとお騒がせな「池友会」。その目指す方向はまだ見えてこない。