J-REITの日本レジデンシャル投資法人が苦境に立たされている。
同投資法人は11月18日、08年11月期(第10期)の運用状況の予想の修正を発表した。それによれば、営業収益は前期89億6,700万円→当期90億2,500万円、経常利益は前期29億6,800万円→当期29億9,900万円と微増するものの、当期純利益が前期29億6,500万円→当期6億6,700万円と激減する。
主な理由は、取得予定だった「パシフィックロイヤルコートみなとみらい アーバンタワー」(117億1,502万円)の取得中止による違約金23億4,300万円が発生したため。
しかし、より衝撃的なのは1口当たり分配金の減少幅だ。前期実績は14,577円だったのが当期は2,700円にまで落ち込む見通しで、全投資法人中で最低の額、最高の下げ幅となる模様。下げ幅が大きいものには、ほかにリプラス・レジデンシャル投資法人がある(前期14,312円→当期5,766円)が、ここは資産運用会社のリプラスが破綻したから、ある意味当然の結果である。
こうした事態を受け、ムーディーズは同投資法人の格付けをBaa3からBa2に格下げすると発表。R&Iは、違約金の損失は1期限りとして静観の構え。だが、同投資法人はすべての借入金について担保提供の申し入れを行ったことも同日発表。担保提供は資金調達の安定化に寄与する一方、物件売却や新たな借入の機動的な実施を制約する。
ただ、分配金の低さから投資口としての妙味は薄い。また、少なくとも福岡に有する4物件の収益性は低く、同投資法人が今後どのような対策をとるのか注目される。