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民主党、「住民投票」を事実上の否定!
政治
2008年11月21日 10:33

 福岡市議会における民主党議員の問題発言は、昨日報じた「有権者は知識がない」発言にとどまらなかった。19日、市立こども病院人工島移転の是非を問うために請求された「住民投票条例案」を審議する福岡市議会臨時会の本会議。反対討論を行なった民主党の栃木義博福岡市議(早良区選出、当選3回)は、大学教授の意見を引用したとしながら「有権者は専門知識が少ない」「ムードや感情に左右され」などと暴言を連発した。明らかに有権者への侮辱であるとして指摘したところ、同議員は「訂正はしない」と明言していた。(20日「民主党が有権者を侮辱」で既報)
しかし、同議員の反対討論での発言内容は、別の大きな問題にも言及していた。現行の住民投票制度を、事実上否定するものだった。

 同議員は(『民主党会派は』としたほうが正確かもしれないが)、住民投票そのものについて、「解決されるべき諸課題が多く、今日においても制度設計が国レベルで確立していない」とした。そのうえで、「住民投票制度のあり方というものが政治論的、または法律論的に整理することが難しい課題である」とつづけ、「住民投票を制度化することが困難」と結論付けた。
さらに、「現行制度による住民投票については民意反映の客観性や法的効力に課題なしとは言い切れない問題をはらんでおり、今後十分な議論による合意形成が必要」として現在の住民投票制度を事実上否定した。これは、これまで全国で実施されてきた数々の住民投票の結果そのものにも疑問を投げかける姿勢を示したものである。民主党としての意見と受け取らざるを得ない。民主党本部に確認したが「県連に聞いて下さい」と頑なに回答を拒否された。「事実関係を調査する」とか、「文書でお願いします」という返事を期待していただけに、門前払いにはがっかりさせられた。無責任な政党である。

 栃木議員の発言内容は、複数の大学教授の意見を引用したものとするが、その意見を会派及び自身の意見として議会で発言した以上、発言に対する責任を負わねばなるまい。いまさら他人の意見だったという逃げ口上は通用しない。今日までに全国各地で実施された、条例に基づく住民投票は、その地域だけでなく、日本の在り方自体が問われたものも多かった。原子力発電所建設の是非、日米地位協定見直しの是非、産廃処理場建設の是非、市長村合併の是非・・・。あるいは、住民投票が実施された自治体の名前を挙げただけでも、なにが争点だったか想起する人も多いだろう。沖縄、徳島、岩国、それらの住民投票にも疑義があるということになる。

 民主党の福岡市議団が反対討論でその主張を引用したとする大学教授は2名。ともに住民投票に対し批判的な意見を持つことで知られる。栃木議員が引用したのは原田尚彦・東大名誉教授と大山礼子駒大教授の過去の文章である。議会発言と全く同じ文章は、両教授に関するネット上の記載でも確認できる。民主党の市議らが、2教授の著書の内容を理解したうえで引用したのかどうかは分からない。ただ、昨日から報じている「専門知識がない」や「ムードや感情に流され」の部分は、大山教授が指摘したものをまとめたものらしいが、大山教授は「住民は」という表現を使っているのに対し、栃木議員はわざわざ「有権者は」と言い換えている。確信犯としか思えない。有権者を見下した民主党の本音が出たということだろう。

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