不動産と金融の不振
青天井かに見えた上海の経済成長も、踊り場を迎えつつあるようだ。08年7月25日付中国証券報で、上海市統計局の蔡旭初チーフエコノミストが、上海における08年上半期のGDPは6,530億元で成長率が10.3%にとどまり、全国平均10.4%をやや下回ったことを明らかにしたと報じられた。
蔡旭初氏によれば、成長鈍化の原因は(1)上海が国際経済の影響を受けやすいこと(2)国のマクロ経済調整策が徹底して履行されていることに加えて(3)証券業と不動産業の不振があるという。上海の経済成長を支えていたこの2業種の、07年上半期GDP寄与率は19%に達していた。
しかし、08年の寄与率は証券業がゼロ、不動産業に至ってはマイナスとなってしまった。とくに新規着工件数と投資規模の縮小、インフラや工業分野での投資減退が影響した。
不動産販売も不振で、08年上半期の販売用住宅の販売面積は前期比18.5%マイナスの1,228万9,100㎡と低調だった。
また、中国政府が貸出増加を抑えるため銀行を指導したことで、資金調達が難しくなったことも背景にあるようだ。
上海総合指数は、05年7月の1,000ポイントから約2年で6倍の6,000ポイント超に急騰。しかし、サブプライムローン問題やリーマンショックなどで世界的株安に陥るなか、下落傾向を食い止められず、今年11月にはもみ合いながら1,700ポイント台前後で推移している。
こうしたことから、上海経済はすでに調整局面に入っていると言えよう。
【大根田康介】
~つづく~