推薦を受けた民主党とは疎遠になり、政治信条であるはずの「聞きたかけん」はうわべだけの人気取りだったことが明らかとなっている吉田宏福岡市長。政治家失格ともいえる変節ぶりに批判の声は高まるばかりである。市政の検証といえば「公約」の達成度を見るべきものなのだろうが、吉田市長の場合、それ以前の問題ばかりでつまずいた。
まず、市長就任から間もない昨年1月には、吉田市長陣営の「選挙カー疑惑」が持ちあがった。選挙カーの看板作成業者を使い、選挙カーの公費助成金を陣営側へ還流させようとした、詐欺まがいの事件である。就任早々、怒った看板業者に市長室に乗り込まれるという大失態、お粗末というほかない。
さらに市の指定金融機関である福岡銀行によるパーティ券購入問題、暴力団関連企業からの事務所賃借問題など、歴代市長にはなかった「事件」ばかりである。いずれの事件でも、吉田市長自身は説明責任を果たしていない。これもまた、公約以前に「市長失格」といわれるゆえんである。肝心の公約達成度を検証しようにも、目玉とされた施策は全て反故にしているから始末が悪い。
吉田市長が選挙前に公表した公約やマニフェスト(参照)を確認すると、市長選当時、市民の心をとらえた政策は次のようなものであろう。
・人工島事業の見直し
・大型開発を止め「身の丈に合った街づくり」
・こども病院人工島移転の白紙にもどしての見直し
・留守家族こども会の無料化
・市立保育所の民営化中止
・新空港は必要ないことを明言する
どれも山崎広太郎前市長への当時の批判を意識し、受け皿になることを狙ったものに過ぎない。そして、どの項目も見事に市民への約束を反故にした。政治家としての覚悟も、見識もなかった、ということだ。
ある市関係者は「吉田君は役人とケンカしようとしていない。役人に全てを任せ、自民党に、あるいは財界にすり寄ることで生き残ろうとするのだろうが、今までのように市民をバカにした姿勢を続けていれば、必ずしっぺ返しをくらう」と語る。役人まかせの結果が「公約違反」だったとしたら、それが吉田市長の2年間の仕事だったということになる。
吉田市政に対する市民の評価は低い。「一票損した」と怒りをあらわにする市民も少なくない。高い税金で「公約違反」を仕事にする市長を雇っていると思うと、じつに情けない。
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