清酒「冨の寿」で福岡県内でも相応の知名度を有していた久留米市の「冨安合名会社」が年末を迎えるにあたって苦境に立たされている。同社は昨年5月1日に負債4億6,500万円を抱え福岡地裁久留米支部に民事再生法の適用を申請。その後、再建に向けて日本でも知名度の高い韓国の酒造メーカーが支援を申し出ていた事で、再建計画も順調に進むと見られていた。しかし、円高ウォン安の影響により支援の話が中止になったという。
報道によれば、韓国企業が負債約4億円を引き受けた上で10億円を投資して新施設を整備し、従業員約20名の雇用と「冨の寿」銘柄を維持するという支援内容だった。しかし、9月に発生したリーマンブラザーズの経営破たんを発端とした世界的金融危機のあおりを受け、経営の譲渡が決裂した形となった。
こうした事態を受けて、同社の存続自体が危ぶまれており、毎年3月に行なわれる恒例の酒蔵開きも開催が難しい状況である。長年親しまれている「冨の寿」銘柄だけは存続したいという考えだという。
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