積水ハウス(大阪市)、大和ハウス工業(大阪市)が、わずか1年3ヶ月の間に上野公成元官房副長官側へ提供した政治資金総額は1億5,000万円を超える。巨額な政治資金提供を行なった両社及び政治資金パーティを主催した上野元副長官側へ取材した。
元政策秘書の話に矛盾
まず、上野公成元官房副長官の元政策秘書への取材結果である。元政策秘書は上野元副長官が現職議員時代の政策秘書で、自民党支部を除く6つの上野氏関連政治団体のうち、4団体で代表を務めている上、6団体全ての政治資金収支報告書には「事務担当者」として明記されている。事実上の金庫番と見られる。
元政策秘書への取材インタビューの内容をQ&Aの形で紹介しながら、問題点を検証してみたい。
Q:同一日に2回のパーティを開催したのはどういうわけか?
A:朝、昼としている。朝食会と昼食会。
Q:会場費は1回分しか支払われていないが?
A:実は朝食会の会場の控え室を使ったから、会場費が発生しなかった。違う(政治)団体で朝も昼も2回(パーティを)している。架空ではなく、積水ハウスも大和ハウスも出席してくれている。
Q:別の日でも良かったのではないか?
A:1回で済むではないか。今日も明日も来てもらうよりいい。
Q:その場合、朝も昼も、積水・大和の出席者は同じ人達か?
A:そうだ。続けて(パーティを)したほうが相手に迷惑にならない。
Q:なぜこんなに多くの回数、パーティを開かなければならないのか?
A:単純なお金集めなんで。大きい金額になるだろうが、その大きな金額を集めたいからこれだけ(パーティを)している。
Q:パーティ券はいくらか?
A:20,000円。
Q:20,000円は何に対する対価か?
A:テーマは忘れたが配布資料もあり、勉強への対価(が20,000円)。基本的に上野(公成・元官房副長官)がしゃべる。全てではないが。
Q:昼食会と言うが、控え室では食事は出ていないだろう。
A:コーヒーくらい出したかもしれない。
Q:再度確認するが、主催団体が違っても、積水・大和の出席者は同じということで間違いないか。
A:そうですね。
当初、「朝食会と昼食会」としていた1日2回の政治資金パーティ。それが次第に、食事ではなく「コーヒーくらい出したかもしれない」と後退する。昼食会ではなく「ティーパーティ」ということなのだろうか。そもそも「控え室」で政治資金パーティをやるという言い分は、「抜け穴を利用しています」と公言したに等しい。そんなことが許されるなら、1回のパーティへの支出限度額150万円を、簡単に倍にすることが可能となるからだ。政治資金規正法は、同一パーティなら主催団体が複数でも「一の政治資金パーティ」としかみなさない。上野元副長官側が「違うパーティをやった」と強弁しなければならない理由はそこにある。
さらに元政策秘書は、異常とも言える回数の政治資金パーティについて、「単純な金集め」と開き直る。「大きな金額を集めたいからこれだけ(パーティ)やった」という言葉、実は無理なことをやったということの裏返しなのだが、同秘書は気づいていないようだ。この点についてはシリーズの中で詳述する。いずれにしても、この時点で上野元官房副長側の言い分には矛盾が生じている。
※記事へのご意見はこちら