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ビジネス最前線

米国債 格付けが下がらないのはなぜか(上)
ビジネス最前線
2008年12月15日 11:27

 2009年の世界経済で、悪魔のシナリオは米国債の暴落だろう。すでにイラク戦争の出費で巨額財政赤字に陥っているにもかかわらず、景気浮揚のため大規模な財政出動が加わる。ドル建て資産を忌避してユーロや円にシフトする機関投資家も多い。米国債がいつ暴落しても不思議ではない。
 すでに米国は07年の時点で9兆ドル(約900兆円)もの長期政府債務を抱える。これは日本の国と地方の長期債務の合計である775兆円を上回っている。
 サブプライム問題から表面化した今回の金融危機で、米国政府は矢継ぎ早に対応策を講じている。それには以下のようなものがある。

(1)金融安定化法で認められた公的資金注入による金融機関安定化プログラムに7,000億ドル。
(2)住宅ローンの借り換え促進に3,000億ドル。
(3)シティグループの不良債権に2,500億ドルの政府保証の実施。
(4)米政府支援機関であるファニーメイとフレディマックの支援に2,000億ドル。
(5)AIG救済に1,500億ドル。
 これをすべて足すと、1兆6,000億ドル(約160兆円)にものぼる。
 これだけでも唖然とする金額だが、問題はこれだけにとどまらない点にある。
そもそも(1)の金融安定化法は、金融機関が抱える不良債権を公的に買い取ることが当初予定されていたのに、途中から強引な法解釈によって公的資金注入に姿を変えた。この解釈の変更を受けて、すでに10月から11月にかけてキャピタル・ワンやUSバンコープなど約30行に2,500億ドルの資本注入を終えているものの、今後は当初予定されていた不良債権の公的買い取りが改めて課題になろう。その金額はおそらく数千億ドルの規模になりそうだ。

 米上院の調整が決裂した自動車メーカー大手3社(ビッグ3)救済策では、GMとクライスラーの当面の資金繰り支援だけでも140億ドルが必要とされていた。トヨタの労働者の時間給が31ドルなのにGMの労働者の時間給は71ドルもあり、議会は抜本的なリストラや賃下げを望んだが、殿様企業体質が抜けないビッグ3と労組側が受け入れなかった。本稿執筆時点(12月12日)では予断を許さない状況だが、もし仮にビッグ3の抜本的な公的救済が改めて必要になってくれば、推定500億~1,000億ドル相当の資金がいるだろう。

つづく


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