現地駐在員の任期を終え、カンボジアから帰国してもうすぐ三年。カンボジアにおける存在感と存在意義を確固たるものにしながらCMCが成長を続けていることに大きな喜びを感じながら、後任の現地報告を見ています。VOICE OF HEARTを3割以上の人が聞いていたという由見氏のアンケート結果を見たときに、自然とガッツポーズが出たことを思い出します。
私は、二代目現地駐在員として2005年2月にカンボジアに渡りました。古川氏が初めてVOICE OF HEART を放送した直後のことでした。現地に入り、病室で静かに横たわる地雷被害者の姿を目の当たりにし、VOICE OF HEARTの重要性をより一層感じました。視聴率調査と共に、どんな番組が必要なのかを多くの人と議論しました。
さらに、番組を聴けなかった人のためにテープに録音し、リハビリセンターや病院に配布しました。リハビリをしながら真剣にテープに耳を傾ける姿や、「番組を聴いて勇気がわいたよ」という言葉に私自身が元気をもらいました。
ラジオ番組以外にも、ボップイ安倍小学校の教育支援、エイズ調査などに取り組みました。教育支援においては、生徒、先生、村人、さらには教育相の役人と対話し、教育環境を整えることが大切であると学びました。建物を作るだけでは宝の持ち腐れです。子供たちの「勉強したい」という思いに応えられる学校づくりに尽力しました。エイズ調査では、十分な治療が行われず、ただ祈りをささげながら死を待つという現実を知りました。
夫をエイズで亡くし、幼い子供を持つ母親が真剣な眼差しで、「この子達を日本につれて帰って育ててください」と訴える姿は、あまりにも衝撃的でした。この現状を日本に伝えたい一心で報告書を作成しました。
10ヶ月間にわたるカンボジア駐在はあっというまでした。カンボジアで何より感じたのは、CMCの活動に参加し、募金に協力してくれる方々の思いは、しっかりと現地に届けられているということでした。同時に、日本と現地を繋ぐパイプ役である現地駐在員の責任の重さを実感しました。
失敗を重ね、自分の無力さを感じることばかりでしたが、現地や日本の仲間に励まされ、充実した日々を過ごすことができました。ラジオ放送や学校建設といった大きな仕事はありませんでしたが、教育、ラジオ放送、エイズ支援の礎を築き、後任にバトンを渡しました。こんな私もほんの少しはカンボジアのためになれたかなと考えています。
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