06年10月27日、上野公成元官房副長官の関連政治団体「環境問題研究会」が、霞ヶ関の「霞山会館」において政治資金パーティを開いたことになっている。パーティの名称は「上野公成セミナー」。
このパーティの収入総額は320万円である。このパーティに対し、積水ハウスが11月2日に150万円、大和ハウスが12月8日に150万円を支出していた。パーティ収入の大半は住宅メーカー2社からのものである。むしろ2社から対価を受けるためのパーティと言っても過言ではあるまい。
霞山会館におけるこのパーティの会場費は、何と18,049円。この激安の会場費について上野氏の元政策秘書に確認したところ、「弁当代、コーヒー代だけかもしれない」という。余談になるが、霞山会館は霞ヶ関ビルの隣、旧霞山ビルにあった「財団法人 霞山会」が運営する会議室である。旧霞山ビルそのものを霞山会館と称していた。(財団法人霞山会は戦前の東亜同文会をその前身としており、日中交流を促進するための事業などを行なっている。)現在は再開発され「霞が関コモンゲートビル西館」となり、金融庁が同居する官民共有ビルとなっている。霞山会館が新ビルに入居しているのは言うまでもない。本シリーズの後半で触れることになるが、この霞山会館は、住宅メーカーの政治活動の場として頻繁に利用されていたことが分かっている。
話を元に戻すが、320万円もの対価を得た政治資金パーティでありながら、会場費が18,049円というのは、本当に集金に特化した催物としか言いようがない。18,049円の内訳に、元政策秘書が言うように「食事代」や「コーヒー代」が入っていたのかどうかさえ疑わしい。旧霞山会館の室料に加え、食事代やコーヒー代が含まれている金額とは到底思えない安さだからだ。
さらに、霞山会館を利用した「環境問題研究会」主催の政治資金パーティでは、9月27日開催分の会場費59,582円(収入総額320万円)、10月11日開催分の20,947円(収入総額320万円)など通常の政治資金パーティではあまり見ることのできない格安の会場費で、多額の政治資金を集めている。もう一点注目したいのは、政治資金パーティの収入総額が「320万円」というケースが06年・07年で7回もあるということである。320万円のうち積水、大和が150万円ずつ計300万円であることも同じ。どう見ても、積水・大和のための政治資金パーティであるとしか思えない。残り20万円の対価支払いについては、何の記載もないことから、政治資金規正法が規定する「20万円以上」の支出を行なったのは積水と大和だけだったことになる。霞山会館利用の政治資金パーティ回数は29回。パーティ収入の最低が190万円、最高が454万円。300万円台が20回という実績を見れば、なおのこと霞山会館でのパーティは積水・大和2社の支出の受け皿としての色彩が強くなる。
いずれにしても、1万円台、2万円台の会場費は、まさに会議室使用料程度のものである。パーティ券1枚20,000円という対価にふさわしい「催物」だったのかどうかが焦点になる。
問題のパーティ会場費領収書
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