九州経済産業局や福岡市、（社）九州ニュービジネス協議会などで構成する「大学発ベンチャー・ビジネスプランコンテスト実行委員会」（松尾新吾委員長）が12月17日、福岡市役所15階講堂で開催した「第8回大学発ベンチャー・ビジネスプランコンテスト」で、「廃油リサイクル石鹸を主成分とする環境にやさしい泡消火剤の開発及び販売」というプランを発表した北九州市立大学大学院の水城秀信さんがグランプリを獲得した。

　「火災における直接的被害、放水による二次的水損害、火災に伴う黒煙や有毒ガスの発生による環境への影響、再燃の危険性など、消防活動上の諸問題を軽減するためには、少ない放水量で早期に消火するために、廃油からリサイクルした石けんを用いて、環境にやさしい高性能な消火剤を製造し、販売する事業である」というのが事業概要。すでに、北九州市若松区のシャボン玉石鹸（株）と共同で製品化している上、廃油の供給元や販売先も具体化していることなど、事業の実現性が高く評価された。水城さんは来年3月に予定される全国大会に出場する。

　また、「安価で健康的な食事を提供する食育塾」を発表した福岡大学の藤原一成さんらが九州経済産業局長賞を受賞。「成功報酬型広告モデルを導入した読者参加型フリーペーパー『きみ僕ペーパー』」を発表した福岡大学の壇健太郎さんら、「あつまれ10代！ＢＬＵＥ　ＳＰＲＩＮＧ」を発表した中村学園大学の二宮由佳さんら、「新たな社会科見学サービス　ｋｉ．ｍｉルート」を発表した長崎大学の山口力さんら、「ペットゲームでダイエット支援『ダイペット』を発表した九州産業大学の村上陽一さん、「中国人観光客受け入れのための戦略サポート事業」を発表した河上朋樹さんが、それぞれ優秀賞を受賞した。

　表彰式で同実行委員会の松尾新吾委員長は「今回は11大学から49プランの応募があり、昨年の33プランから大幅に増え、質量ともに充実していた。大学発のこうしたシーズが大きく育って、ビジネスプランではなく、起業そのものに結びつくことを願っている」と、あいさつ。審査委員長を務めたトーマツ・ベンチャーサポート（株）の古賀光雄社長が「審査のポイントには新規性や革新性、差別化、実現性、市場性、プレゼンテーション能力がある。プレゼンテーション能力や新規性という点では全体的にレベルが上がっていた。ただ、実現性という点で難があった。ビジネスプランコンテストというのは、ビジネスになるかどうかが大きな問題。そこをしっかりと考えてほしい。しかし、今回発表されたアイデアは社会的な問題を取り上げるなど、勉強になる部分もあった」などと講評した。

　ちなみに、同実行委員会では今年6月17日から３ヶ月間、「大学・高専の技術シーズを活用した事業」「日常生活の周りにあるアイデアをヒントにした事業」をテーマに、九州内で起業を目指す高専、大学の学生・院生・研究者などを対象としてビジネス・プランを募集。エントリーした49組のうち、一次審査と二次審査を通過した7組がこの日、各プランの内容の高さなどを競い合った。

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