福岡市が、開催中の福岡市議会定例会で国際会議場周辺へのホテル誘致を明言した。時勢を読みきれない福岡市の発想に驚くばかりである。
国際会議場周辺にホテルを誘致するという案は、2代前の市長・桑原敬一氏時代の遺物である。自民党の一部はご執心だったらしいが、大規模開発計画の見直しを進め、原案を潰した山崎広太郎前市長が選挙に敗れ、市役所を去った途端、息を吹き返した格好。
国際的な金融危機が起こる前の今年9月9日から、福岡市によるホテル誘致の動きを報じてきたのは、無謀なことだと警鐘を鳴らしたつもりだった。
福岡市内のシティホテルの稼働状況を見れば、とてもホテル誘致という考えは起きないはず。トヨタ、キャノン、ソニー、日産、東芝・・・、名だたる企業が減産、雇用削減を余儀なくされる中、どうしてホテル業界だけが巨額の投資をできるというのだろう。
福岡市内ではすでにオークラ、ハイアット、日航、ニューオータニ、全日空など多くのシティホテルがしのぎを削っている。外資系のホテルに限ってみても現在の福岡市に進出するとなれば相当の覚悟が必要となろう。ましてやイベント目当てのホテルなど、考える余地もないと言われる。一時噂されたプリンスホテルの進出は頓挫したとも言われるが、福岡市にはあてがあるらしい。この不景気にイベントや会議の人出を期待し、一部の人間の思惑で市政が歪められる状況は、市民にとっても不幸である。
行政には継続性が要求される。バブルに踊った時代の遺物を引っ張り出すこと自体、狂気の沙汰である。税金を使ってバカなことをする前に、ましな市政運営を心がけるべきだ。
それにしても吉田宏さんの「身の丈にあった福岡市」という公約はどこへ消えてしまったのだろう・・・。
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