柳川市議会は12月定例会の最終日の19日、ピアス社跡地のアスベスト調査委託料と「道の駅」の不動産鑑定委託料を除いた本年度一般会計予算修正案を可決した。またJAS法に基づき県から改善指示を受けた「田中食品」の役員をしていた田中雅美議長に対して議長辞職勧告決議案が提案されたが、議案として上程することは少数で否決された。さらに「石田市長答弁の矛盾点を解明する特別委員会」の報告がなされ、賛成多数で承認された。
来年4月の市長選を睨んで波乱に満ちた12月定例会は、予定を大幅にオーバーして午後8時過ぎに終了した。
「市長として、市民としても監査請求をやらせて頂く」
10時に開会した本会議は、直ちに各常任委員会からの報告に移った。その後、総務委員長から一般会計補正予算が賛成多数で修正されたことの報告への質疑が行なわれた。質疑には4人が立った。この後、議長の許可で、異例ともいうべき市長の答弁が行なわれた。
市長は、16日に行なわれた総務委員会での自らの発言を引き合いに出しながら、アスベスト調査と「道の駅」鑑定委託料とも国の一部補助を受けている、否定されたら追加補助は厳しいとした上で「修正された方については、市長として、市民としても監査請求をやらせて頂く」と発言した。さらに、今後は全て市民負担を覚悟して採決していただきたい、と追い討ちをかけた。市長本人は「脅しではない」と言いつつ、本会議採決前に恫喝と取られかねない発言を行なった形。「脅しではない」と断ること自体、誤解を招く発言であることを自覚している証拠であろう。
この後、20名の議員から賛成・反対の討論が行なわれ、採決の結果、修正案が可決された。これをもって、市長が進めようとしていた来年3月のピアス社への損害賠償請求の提訴は不可能に。また、「道の駅」事業についても一旦見送りとなった。
本会議には多数の傍聴者があり、地元の土木・建設業の関係者も多く見られた。この中には「道の駅」事業工事で、すでに受注が決定していると噂されている建設会社社長の姿もあった。「道の駅」建設が予定されているとされる農地の転用にも影響を持つ人物である。「道の駅」問題の本質が何であるかを物語っているとも言えよう。
採決後石田市長は記者団に、「合意が得られず、理解が得られず残念・・・。今後は、時間がないですから市長選後ということになるでしょう。市長選のなかで道の駅やアスベストをマニフェストにいれて争点にしていく」と語った。
また本会議での「石田市長答弁の矛盾点を解明する特別委員会」の報告については、「特別委員会はいままでの繰り返しですよ。無駄だと思いますよ。職員を拘束しなければならないし、経費も掛かるし、無料じゃないんですから」と議会多数派の対応を批判した。
このあと常任委員会の報告が承認されたあとの午後4時20分過ぎ、突如、伊藤法博議員から田中雅美議長に対して議長辞職勧告決議案が提案された。議会事務局でさえ事前に何も知らされていなかったという。
(つづく)
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