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トヨタ奥田の何様発言、原因は業績悪化 厚労懇議事録やっと公開
特別取材
2008年12月 9日 14:44

 11月12日、首相官邸で開かれた「厚生労働行政の在り方に関する懇談会(第4回)」(以下、厚労懇)の議事録が、官邸ホームページ上でやっと公開された。3回目までの議事録は開催から数日で公開されていたが、今回は公開まで1ヶ月近くかかったことになる。懇談会の座長を務める奥田碩トヨタ自動車相談役(元日本経団連会長)がマスコミ、特にテレビ番組の厚生労働省批判に対し、怒りをあらわにしたうえ「スポンサーを降りる」など恫喝とも取れる発言を行ない、社会問題化していた。

 今回の議事録公開で、奥田氏の何様発言(ネットIBニュース参照)の全容が明らかとなった。奥田氏は個人的意見と断ってはいるが、「本当に腹が立っていますよ。何に腹が立っているかというと、新聞もそうだけれど、特にテレビが朝から晩まで、名前を言うとまずいから言わないけど、二、三人を連れてきて、もう年金の話と厚労省に関した問題について、わんわんと毎日やっているわけでしょう。あれだけ厚労省がたたかれるというのは、ちょっと異常な話なので、私は何か報復でもしてやりたいなというぐらい、それぐらいの感じは個人的には持っているんですよ。だから、例えばスポンサーとかね。だからそれはちょうど、今・・・・・」ここで、浅野史郎氏(元宮城県知事、慶大教授)が「それを言ってはいかんですよ」と発言を止めている。

 奥田氏が「だからそれはちょうど、今・・・・」と言いかけているが、このあと何を言いたかったのか想像はつく。実際にトヨタがCMの数を減らしていると言いたかったようだ。もしそうであるなら、業績悪化を受けての広告削減を、犯罪的行為を繰り返してきた厚労省に対し、厳しい批判をするマスコミのせいにした稚拙なすり替えに過ぎない。

 その証拠に、このあと奥田発言は「言ったらいかんけれども、今のところやっぱりあれでしょう、実際に、だから会社なんか相当、経済の問題で最近沈んできているわけですね。だから、もう経費節減だとなってくると、もう3Kが出てくるわけですね。広告宣伝費と、それから交際費、それからもう1つは何だったかな・・・・・、3Kですよね。だから、広告宣伝費なんか出さないと、特に大企業は」と続く。3Kが何を指すのか分からないという元財界トップにも困ったものだが(ちなみにもうひとつのKは交通費)、厚労省への批判に対して怒っているのか、トヨタの業績悪化に怒っているのか分からない発言内容である。広告を削減するのはトヨタの事情であり、厚労省批判と結びつけて「だからスポンサーを降りる」という理屈は通らない。いったい奥田氏は何のための懇談会に出席しているのだろう。それにしても幼稚すぎる。

 このあと、浅野氏とのやり取りの中で次のようなくだりとなる。浅野氏が「けなしたらスポンサー降りるぞというのは、これは座長、言いすぎだと思います」とたしなめると、奥田氏は「いやいや、降りるぞというのではなくて、もう現実にそれは起こっているのです」。開いた口がふさがらないとはこういうことをいうのだろう。厚労省批判が気に入らないと難癖をつけ、スポンサーを降りると恫喝した挙げ句、発言をとがめられた途端「実はもうスポンサーを降りている」という。トヨタがテレビCMをはじめとする広告宣伝費を削減したのは事実らしいが、それは自社の業績悪化を受けてのこと。しかも、広告宣伝費などの3Kだけにとどまらず、大量の非正社員の首を切り、北部九州では深刻な事態を招来している。今度は、厚労省批判をした国民がけしからんから派遣の首を切ったとでもいうのだろうか。奥田氏の発言は財界トップとしても、もちろん厚生労働省を改革するための懇談会の座長としても失格である。このあとの奥田氏の発言はさらに問題がある。

つづく

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