20日、4回目となった三苫での出前説明会には、100人以上の住民が参加した。この日は、前回住民が要求していた質問に対して、福岡空港調査連絡調整会議から文書回答がなされ、参加者とのやりとりが行なわれた。参加した住民らは回答に納得せず、来年早々さらに説明会を開くよう要望したが、調整会議側は「今の時点では約束できない」として物別れに終わった。住民側としては、調整会議からの出席の有無にかかわらず、1月11日に集まりをもち、住民投票も視野に入れた運動を始めることとなった。
住民側が最も重要視していた要望は、離着陸に悪影響を及ぼす横風分力の現地測定を、3ヶ所で先に行ない、その後に新空港の方向性を決めるべきだ、というもの。これに対して調整会議側は「構想段階で詳細な調査を行なう。1ヶ所の観測でよい」と回答。参加者からの不満、不信が増大した。
参加者は「今回のデータは観測地がずれているし、古いものだ。きちんとしたデータ抜きに新空港の方向を決めるべきではない」「都合の良いデータを使って、新空港ありきである」「データの信憑性が薄いし、裏づけがない」「こうしたデータで新空港に決まればおかしい」「間違ったらその責任は誰がとるのか」などと厳しく追及。調整会議からは「文献調査でデータを示した。今は調査段階であり、新空港となれば現地調査を行ない判断していく。新空港に決まったからといって建設ということではない」との回答に終始。
議論はPI(パブリック・インボルブメント)の在りかたに及び、「今の行政の対応は、住民に十分情報を提供し、声を聞くという態度ではない」「行政は聞き置くということだけではないか」という批判が続出した。
こうした中、参加者から「今日の意見や要望への回答の場をもう一度設定して欲しい」との要望が出されたが、調整会議は「この場では返事できない。皆さんの意見は上に報告する」と回答。結局、合意を見ることはできなかった。
住民から、東区選出の市議、県議との討論会をやろうという意見なども出され、このままでは納得できないという声が会場を支配した。
予定時間を2時間もオーバーした説明会は、1月11日午後6時から住民の集まりを持つことを確認し終了した。
20日の説明会で、住民側の行政への不信が印象づけられた。住民側としては、新空港の候補地としてあがっている地元地域で、最初に説明会を開くのが当然ではなかったのか、ということだ。4回も開かれているとはいえ、住民側が要請した出前説明会であり、調整会議みずからが計画すべきであったというのが住民の声だ。ボタンの掛け違いというべきか。
いずれにしても、十分な現地調査もせずに新空港を決めようとする行政の姿勢に、不信を抱かぬ方がおかしい。
この日の説明会では、「新空港の是非を決めるのは住民である」という声があがった。住民投票をしてでも自分たちの意思を示そうという流れも生まれつつある。
こうした声に住民の代表者である市議、県議や市長、県知事が耳を傾け、開かれた議論を重ねる中で判断をしていくべきだろう。