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政界インサイドレポート

「平成の大獄」と“麻生官邸の変”
政界インサイドレポート
2008年12月24日 11:05

◆「17人の造反」をめぐる与野党攻防

 さる12月中旬、国会図書館のエレベータ前で自民党の反執行部派の議員2組が鉢合わせした。
「先輩方からお先にどうぞ」
「いやいや、あなたが先に乗りなさい」
 まるでどちらが先に自民党を割るか、譲り合うかのような光景だ。
 先に声をかけたのは鋭い麻生批判を展開する若手の渡辺喜美・元行革相。あとから来たのは「政界再編」を公言する加藤紘一・元幹事長と野田毅・元自治相だった。

 国会図書館には議員専用の個室がいくつもあり、しばしば内密の会合が持たれる。
 加藤氏は盟友の山崎拓・元副総裁とともに“新党結成”を目指していると見られており、10月には小沢一郎・民主党代表とも会談するなど、「台風の目」の一つだ。加藤ー山崎コンビの動きが自民党に激震を与えるかどうかは、ひとえに同調者の人数にかかっている。しかし、山崎派の大幹部である野田氏はかつて新進党に参加し、小沢氏とたもとを分かって自民党に復党した経緯があるだけに、政界再編には慎重で加藤―山崎ラインの行動に批判的だ。
「加藤は今や自前の勢力を持たない。若手に同調者を募っているものの、2回目の造反が成功するかどうかは山崎派がどれだけ結束して動くかにかかっている。そのため再編に慎重な野田を説得している。」(山崎側近)

 永田町では麻生政権の末期というより、自民党そのものが音を立てて崩れ始め、「政界再編」を模索するグループが次々に生まれている。
 中堅・若手議員では渡辺氏が塩崎恭久・元官房長官ら45人で反執行部グループ「速やかな政策実現を求める有志議員の会」を旗揚げすれば、それとは別に元科学技術担当相の棚橋泰文氏も「道路特定財源の一般財源化を抜本的に進める会」を立ち上げ、麻生政策に反旗を翻した。さらにベテラン組の加藤―山崎コンビがひかえている。
 ただし、若手とベテランの各グループは別々に動いており、大同団結で倒閣に動くまでには至っていない。

 来年1月5日に召集される通常国会では、2兆円の定額給付金を含む第2次補正予算の審議が行なわれる。民主党は冒頭から、国民の批判をうけるかたちで定額給付金の撤回を求めて攻勢をかける方針であり、麻生政権の命運は「予算関連法案」の衆院採決の際に、自民党から最低「17人」の造反がでるかどうかにかかっている。
「衆院で(与党から)17人がわたしたちに賛成してくれると、3分の2が使えない。そこで、麻生太郎首相が行き詰まることだってある。」
 民主党の輿石東・参院議員会長は自民党にそう「造反」を呼びかけた。
 自民党17人が反対票を投じれば、与党は衆院の3分の2を有する勢力の優位を失い、野党が法案を参院で否決した場合、衆院で再議決できなくなるからだ。公約の「2兆円バラマキ」が廃案になれば、麻生首相は追い詰められ、解散か、内閣総辞職を迫られる。

◆「平成の大獄」の始まり

「党を割りたいのなら、引きとめはしない。早く出て行ったらいい」
 国会図書館での“離党譲り合い”の数日前、自民党の古賀誠・選対委員長は塩崎・元官房長官を呼びつけてそう通告した。
 塩崎氏は古賀派のニューリーダーの1人だが、渡辺氏らと同調して「倒閣」に動くなら除名するという恫喝だった。
 自民党執行部にすれば、いかに“泥舟”の麻生政権でも、身内の造反でつぶれれば最悪の結果を生むことになる。麻生首相が逆切れして「解散」に踏み切れば、総選挙は惨敗、民主党への政権交代となるのは目に見えている。

 そこで造反予備軍の“弾圧”に乗り出したのだ。塩崎氏のいう「平成の大獄」の始まりである。
 それをきっかけに、自民党各派は領袖が麻生批判のグループに参加した中堅・若手議員らを1人ずつ呼び出し、「出て行くのか、どうするか」と“踏み絵”を迫ったのだ。
 山崎氏も12月15日の各派領袖による会合で「古賀、伊吹、町村、津島氏らから突き上げられた」(町村派幹部)という。
 さらに政界再編のもう1人の“台風の目”、中川秀直・元幹事長には、森喜朗・元首相が12月16日の町村派会合で、
「分派活動するなら派を出て行ってもらいたい」
 と、激しく批判した。

 自民党役員の1人があからさまな言い方をする。
「麻生首相は当面解散をする気はない。離党する者は干乾しになるし、総選挙では必ず刺客を立てる。」
 これで造反組の動きは一時的に鎮静化し、「年内蜂起」の可能性は低くなりつつあるように見える。しかし、先がない自民党執行部がいくら圧力をかけても、もはや自民党崩壊は時間の問題でしかない。
「民主党もこの臨時国会で勝負には出ない。年内は事実上の政治休戦になるから、みんな大獄に連座しないように今は頭を低くしているが、本番は年明けだよ。」
 自民党若手造反部隊の議員は、そううそぶくのである。
 

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