大手ゼネコン鹿島が、キヤノンの関連工事などで数十億円の裏金を作り、受注工作費として使っていた疑いがもたれている問題が、福岡市に本社を置く「九電工」に飛び火した。
九電工はキヤノン発注工事のうち、元請となった鹿島から電気工事を受注。次々に工事を再下請けに回し架空外注費を計上させ、受注工作費を工面したと見られている。
さらに、御手洗富士夫・キヤノン会長(日本経団連会長)に関係が深いとされる大分県のコンサルタント会社に、受注謝礼の意味合いが強いと思われる「5億円のコンサル料」を支払っていたことも報じられた。既に国税当局からも数億円にのぼる所得隠しを指摘されているという。
九電工は2007年、フィリピンの国家プロジェクトに参入するため、同国政府高官への過剰接待を行っていたとして、同社社員が不正競争防止法違反で罰金刑を受けている。日本国内の政府高官相手なら「贈賄」ということになる。
いずれにしても九電工は、工事受注のため「賄賂工作」を繰り返していたことになり、コンプライアンスに問題があったことは明らか。同社の体質的な問題であるとしたら自ら膿を出しつくすことが求められる。九州電力グループである同社は、福岡県の経済界のみならず政界にも大きな影響力をもつ「七社会」のメンバーでもある。裏金・受注謝礼金問題に対し、同社の対応が注目される。